2014-02-24

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●2010年2月の来日時に行なったインタビューの完全版です。

--クワージとして10年以上ぶりとなる来日も、今夜の公演を残すのみとなりましたが、今回のツアーはいかがでしたか?

ジャネット・ワイス「最高に楽しかった。mooolsとも本当に素晴らしい時間が過ごせたわ。とても刺激を受けたし、共演できて光栄よ」

サム・クームス「ショウの内容も、日を重ねるごとにどんどんよくなっていったんじゃないかな。どっちのバンドも、相手のバンドをギャフンと言わせるようなライヴをやってやろうって張り切ってたから、日に日にクレイジーさが増してきて(笑)」

ジャネット「そうそう(笑)。お互いを挑発し合ってるって感じだった」

サム「だから最後の夜は、最高に楽しいショウになると思うよ」

ジャネット「京都も素晴らしかったね」

サム「うん。あと今回は、観光もできて嬉しかった。以前に来たときは大急ぎで移動してばかりで、日本の景色を見て回るチャンスなんてまったくなかったんだけど、今回はちょっとだけ時間に余裕があったんだ」

ジャネット「今日もお城に行ってきたの――松本城にね(笑)」

サム「すごくきれいだったよ」

--今回はmooolsとの共同ツアーになりましたが、他のサポート・バンドも含めて、日本のアーティストたちについて、どんな感想を持ったか聞かせてもらえますか?

ジャネット「ずっと一緒にやってきたから、やっぱりmooolsが第一に印象深いわね。スピリットの面でも自分たちに似てるって感じたし」

サム「“同胞”っていう感じがしたんだ」

ジャネット「うん」

サム「他のバンドよりもそういう気持ちが大きかった――年齢的なものもあるかもしれないけど」

ジャネット「みんな若いよね。でも、私たちはもう年だから(笑)。もちろんみんないいバンドだし、特にOgre You Assholeには、太平洋岸北西部の音楽から影響を感じた――私たちの地元の仲間でもある、すごく面白いバンド連中のね。日本のバンドに彼らの影響を感じることができるなんて、素敵だし興味深かったわ」

--mooolsに対して似ていると感じるスピリットというのは、もう少し具体的に言うとどういうものでしょう?

ジャネット「バンドの目的というか、音楽をやっている動機が、すごく似てるように思う。ファッションとしてやってるわけでも、お金持ちになりたくてやってるわけでもなく、自由な自己表現の手段として音楽をやっているというところ。あと、どこか緩い感じのユーモアがある音楽をやってるところも私たちと似てるし、みんなに本物の感動を与えたい、ファンやリスナーと一緒に高揚感のある経験を共有したいと考えているところなんかも、すごく共通してると思う」

サム「僕としては、音楽をプレイすることイコール人生だと思いたいんだ。つまり、自分たちにとって音楽をプレイするというのは、少なくとも自分たちが理想としてる生きざまと深く結びついていると思ってるんだよ。で、そんな僕たちと彼らに共通して存在してるのが、自由、エネルギー、そして連帯感というか共同体的なスピリットで、それで“地球の裏側で同胞を見つけた!”って感じたわけ。つまり、音楽的にも似てるところは多少あるけど、何より演奏によって表現されている価値観がものすごく似てるっていうのが一番大きいと思う」

ジャネット「あと、パーフェクトを目指して音楽をやってるわけじゃないってところも似てるんじゃないかしら。私たちもmooolsもインプロヴィゼーションを大事に考えてて、ユニークな瞬間が生まれることを目指して音楽をプレイしてる。あまり厳格に統制されていなくてむしろ不完全なほうが、逆にいいと思ってるの」

--なるほど。では、アルバム『アメリカン・ゴング』について質問したいんですが、ベースのジョアンナが加入して初のアルバムになりますよね。彼女がクワージに参加することになった経緯を聞かせてもらえますか?

ジャネット「彼女がメンバーになったのは3年ほど前なんだけど、昔からのいい友達だし、グレイトなベース・プレイヤーだから、まずは自分たちが楽しむために一緒にやろうって話になったの。あともうひとつ、低音域をきちんと埋めたかった、っていうのもあるわ。特にライヴでは、キーボードをベース代わりにしたりして苦労してたのよね。実際、ジョアンナが加わった途端にバンドの音がよりギター志向になっていって、今回のアルバムでもギターをかなり取り入れてる。ベースが加わって低音域が埋まることでギターの音がさらに映えて、一気にイカしたサウンドになるからよ。そういうわけで、ギターとドラムだけだと必ず残ってしまう大きな穴を埋めたかったのと、友達をもうひとりバンドに加えて楽しみたかったっていうのが最初の一番のきっかけだった。3人いるとかなりバンドらしくなるし。実際、あたしのお気に入りバンドの多くがパワー・トリオだし、ギターとドラムとベースの3つの楽器が生み出すサウンドって、やっぱりピカイチだと思うのよ」

サム「同感!」

--では最新作の中で、これまでとは違う出来方をした曲とか、以前と違った手応えを感じている曲をあげるとしたら、どの曲になりますか?

サム「一番わかりやすいのは、“Bye Bye Blackbird”という曲じゃないかな。ミドル・セクションが即興で出来ていて、自分自身どういうサウンドになるか見当もつかずにプレイしてたんだ。とにかくスタジオに入ってテープを回して演奏を始めたら、たまたまああいうサウンドが生まれたっていう。そういう意味で、今までとの違いがはっきり表れてると思うよ。あと今回、曲作りのプロセスで嬉しかったのは、バンドの3人で集まってそれぞれのパートを練り上げていく中で、ベースをオーバーダビングしたりしなくてもフル・バンドのオーガニックなサウンドをモノにできたことだね。おかげで曲に、よりバンドっぽいフィーリングが加わったよ」

--ライヴ感の強いスタジオ作業になった、ということでしょうか。

ジャネット「実際スタジオでは、ほとんど生で演奏してた」

サム「前のアルバムでもジャネットと僕はライヴで演奏してたんだけど、でもその上にベースのオーバーダブを重ねなきゃならなかったからね。実際そのこともあってバンドにベース・プレイヤーを入れたいと考えたってわけ。今回は3つのパート全部をライヴ・レコーディングできたんで、レコーディングがもっとやりやすかったよ」

--日曜日の東京公演で演奏された曲で、“Bye Bye Blackbird”の他にもうひとつ、“Never Coming Back Again”という曲が印象に残ったんですが、あの曲はどのようにして出来たのか、教えてもらえますか?

サム「あれはすごくシンプルな曲で、ちょっとフォーク・ソングっぽかったりもするんだけど、それを轟音でハードに演奏してるところが面白いんだよね」

ジャネット「あははは(笑)」

サム「そうやって敢えてすごくシンプルな曲を選ぶことで、メンバーそれぞれが自己を表現できる場所がたくさん生まれたんだ――自分のキャラクターやスピリットを音楽の中で強く主張できる場所がね。あの曲の必要最小限な要素以外を全て取り除いたら、ほとんど何もなくなっちゃうんじゃないかな」

ジャネット「確かに(笑)」

サム「数少ない言葉でシンプルな考えを表現してるだけでね。でもあの曲に関してはそういったことよりも、メンバーそれぞれの演奏とスピリットをより重視してるってことなんだ」

--わかりました。ところで日曜のショウでは、アンコールでザ・フーの“恋のマジック・アイ”をカヴァーしていましたが、ザ・フーの曲はよく演奏するんですか?

ジャネット「大晦日にザ・フーの曲だけで構成されたショウをやって、おかげで今じゃ15曲のレパートリーを蓄えてるの(笑)。15曲ずっと覚えていられたらの話だけど(笑)」

サム「途中まで覚えて放置してる曲もあるしね」

ジャネット「あははは。でも、そう、やっぱり演奏するとすごく楽しいのよね」

--そもそも全曲ザ・フーのショウをやってみようと思ったのは、どういうきっかけがあったんでしょう? 単純に大ファンで前からずっとやりたいと思っていたんでしょうか?

ジャネット「単に大晦日に何かスペシャルなことがやりたかったっていうか……それにやっぱりザ・フーは演奏しててもやりがいがあるし、すごく楽しいしね。ポートランドではしょっちゅうライヴをやってるから、年越しイベントではいつもと違った特別なおもてなしがしたいって思ったのよ」

--キース・ムーンって独特なドラムを叩く人ですけど、あなたにとっても叩いていて楽しいと思えるスタイルなんでしょうか?

ジャネット「ええ……あははは(笑)」

サム「ドラムだけじゃなく、どのパートもいいよな」

ジャネット「そうそう、ベースもすごくカッコいいし、ギターも最高だし、ヴォーカルも……かなりカッコいいし(笑)。でも、確かにキース・ムーンにはスゴく影響を受けてる。他の誰にも思い付かないようなドラム・パートを考え出した、とてもユニークでアグレッシヴで、恐れを知らない素晴らしいドラマーよね」

--では、さっきも少し話に出たアメリカ北西部の音楽シーンについて聞かせててください。たとえばジョニー・マーとか、彼がザ・クリブスを一緒にやっているゲイリー、さらにスプーンのブリット・ダニエルも今ポートランドに住んでいて(※すべて2010年の時点での話)、かの地に魅せられるミュージシャンがどんどん増えているという印象です。以前からの住人である貴方たちから見て、ポートランドという街のどういった点が、ミュージシャンにとって魅力的に映るんだと考えますか?

ジャネット「そうね……昔は物価が安くて暮らし易いっていうことがあったの。みんな地下室を持ってて、そこで音楽をやってたし、だからたくさんのバンドが活動してた。最近では、とにかく綺麗な街だってことと、ミュージシャンをサポートしてくれる環境があるということ、それからやっぱり物価がまずまず安い(笑)っていうのが魅力になってるんじゃないかしら。私もアメリカで一番いい街だと思ってるし。アメリカ国内じゃ、間違いなく一番お気に入りの街よ。あと、昔からいるバンドもだんだん年を取ってきて、中には子どもがいたりする連中もいるわけだけど、ポートランドは子育てにもとてもいい環境だと思う。実際あなたが名前を挙げたミュージシャンの多くはベテラン勢で家族持ちも多いし、一家でニューヨークに暮らしながらバンド活動するのは実際的じゃないと考えて、それでもっと楽で穏やかな環境を選んだのかもね。のんきでざっくばらんな環境は、ミュージシャンにとってもありがたいもの。ニューヨークと違って、ドレスアップしたくない人はまったくしなくても全然大丈夫って感じだし(笑)。サムはどう思う?」

サム「んー」

ジャネット「正直、何でみんな引っ越してくるのか、私にもよくわからないの」

サム「僕にもよくわかんないけど、誰かがポートランドに移った後、引っ越し先を探してる他の誰かが『そういやあいつ今ポートランドに住んでるんだっけ。なかなか良さそうな街だな』って後に続いて……という具合に、芋づる式になってるだけなんじゃないかな?」

ジャネット「(笑)でもまあ、確かにポートランド在住の成功したミュージシャンの数って、やっぱり尋常じゃない多さなんだろうなとは思う。しかもみんな友達同士で、まさに“同輩集団”って感じなの。みんな昔からの知り合いで、10年以上バンドをやってきてるし、自分たち自身にとってはそれが普通の環境になってるんだけど、改めて客観的に見てみると、それって結構すごいことっていうか」

サム「あの街じゃポーズを取る必要がない、っていうのもあるよね」

ジャネット「そうそう」

サム「自分自身でいて大丈夫な場所で暮らしたい、っていうやつらが集まって来てる街なんだよ」

ジャネット「ファンも礼儀正しくて、バンドに敬意を払ってくれるの。スティーヴ・ターナー(マッドハニー)もポートランド在住だし、ピーター・バック(ex. R.E.M.)もそうだし……ホント大勢いて確かに変な感じがするけど、どうしてなのかしらね(笑)」

サム「そういえば松本に行ったとき、誰かがオリンピア出身のミュージシャンたちの話をしてたんだ。『誰々もオリンピア出身だし誰々も……』ってね。ところが連中は今みんなポートランドに住んでるんだよ」

ジャネット「そうそう(笑)」

--(笑)。ちなみに今度のアルバムはキル・ロック・スターズからのリリースになりましたが、逆にこれまでのアルバムがキル・ロック・スターズから出ていなかったことが不思議なくらい、自然に馴染んでいる気がします。

ジャネット「ふふふ(笑)。あなたの言う通り、もしもスリム・ムーンが、私たちが何年も前にあげたデモをちゃんと聴いてくれてたら(笑)、もしかしたらキル・ロック・スターズに最初から在籍してたかもってホントに思う(笑)」

--(笑)。

ジャネット「でも彼が遂に聴いてくれたときには手遅れで、その時にはもうアップ・レコードと契約しちゃってた。サムが渡したデモを、アップと契約した後になってやっと聴いてくれたのよ。そういえば、キル・ロック・スターズもポートランドに引っ越してきてた!」

--(笑)。

ジャネット「だから私たちが在籍していることが、さらに自然になったというか――地元のレーベルになったことだし、私自身スリーター・キニー時代はキル・ロック・スターズに何年も在籍してたしね。現在の経営者が女性ふたりっていうのも、すごく気に入ってる。実際、設立当初からとても女性に優しいレーベルで、音楽業界で働く女性をずっと勇気づけてきてくれたのよ。だから、ええ、移籍できて本当によかったわ。タッチ・アンド・ゴーはシカゴが本拠地でちょっと距離があったから、ビジネス面の処理に関してちょっと難しいところもあったの」

--わかりました。では最後にジャネット、サウンドガーデンの再結成について一言お願いします(笑)。

ジャネット「サウンドガーデン大好き! マット・キャメロンとは友達だから、再結成ツアーは何が何でも舞台袖からショウを観てやるつもりよ」

サム「僕は、ヒロ・ヤマモトがいた頃が好きだったんだけどなあ」

ジャネット「まーた、そんなこと言って(びしっ)。彼がいなくてもじゅうぶん素晴らしいバンドよ! だから再結成には本当にワクワクしてるの。個人的には最近のリユニオン・ブームの中でも一番楽しみにしてるかもしれない……セバドーと並んでね(笑)」


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