美輪明宏さんのドキュメンタリー「~黒蜥蜴を探して~」を観てきました。わたしは美輪さんのファンで、ご著書も何冊か拝読し、舞台「愛の讃歌」や「美輪の湯」(NHK)なども観ているのですが、こうしてまとまったドキュメンタリーを観る貴重な機会を頂戴しました。
深作欣二監督、江戸川乱歩原作、三島由紀夫脚本による舞台劇を映画化した「黒蜥蜴」。この「黒蜥蜴」で妖艶美麗なヒロインを演じた美輪明宏に魅せられたフランス人監督パスカル=アレックス・ヴァンサンがその魅力の秘密に迫るべく、美輪明宏本人への密着取材や、美輪さんのまわりにいる著名人へのインタビューを行い、この作品ができたそうです。
一言で云うと、「壮絶な人生」。美輪さまのファンだったら誰もが知っている「自殺してしまったゲイの友人男性の悲願の想いを叶えるように、それをきっかけに、ゲイが市民権を得るために、でも憎しみではなく愛を持って戦ってきたひとりの人間の哀しくもも美しい姿が此処にありました。石や誹謗中傷をぶつけられながらも美声で歌い続け、自棄にならずに美しいものを愛し、強く生き延びてきた美輪明宏の姿がスクリーンいっぱいに映し出されます。
美しくいられないようなときもあったでしょう。でも美輪さまは美しく生きてきた。愛に救われてきた。きっとご自身がいちばん、ご自身の愛や美しさに救われてきたにちがいないのです。
光も闇も両方が濃く、色鮮やか。その極彩色の人生、大きなスクリーンでたんとご堪能あれ。