2013-08-15

『わたしはロランス』クロスレビュー:胸をえぐられ、喉が熱くなる映画 このエントリーを含むはてなブックマーク 

激しく誰かを愛し求める、とはこういうことなのかもしれない。

第三の性について、人々の認識も理解もない時代背景の中、残酷にも人々の好奇の目に晒される愛する人。理解し、受け入れることが愛だと信じ、それを証明したい女...だが現実は、女は”男”を求め、男は超越した”愛’を女に求めた。それは男と女でいた頃の幸せにすがって、その幸せを諦めきれない二人がもがく愛の物語なのかもしれない。

時代に合わせた音楽とファッションで攻撃を仕掛けてくる若い監督。全編に広がる色と、考えられた音楽、そして恥ずかしくなるようなファッション。人間として変化していく登場人物の中に、変わらない二人の”愛”を見る観客は、自分が経験した愛を振り返るのかもしれない。

若いということが何かと取り沙汰されるグザヴィエ・ドラン監督だが、それでもあえて言わせていただきたい。この映画、全体的に若さがはじけていて眩しー映画なのだ。彼が彼であり、そしてガスヴァンサントに惚れ込まれ、カンヌで全作品が出品されたという勢い、そしてこの24歳という若さがなくちゃ作れない、そんな唯一無二の深い深い愛の物語なのだ。

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波摩幸江

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