「観察するぞ、観察するぞ、観察するぞ」
冒頭の主人公・タリウム少女のつぶやきは、
どっかで聞いたことがあるような…。
ああ、
「修行するぞ、修行するぞ、修行するぞ」
オウムの麻原テープだ。
(もう20年近く前に地下鉄サリン事件を引き起こしたオウム真理教。
その信者たちが修行の際に聞いたのが、
教祖・麻原彰晃の「修行するぞ…」という声が入った録音テープです。)
冒頭のつぶやきの続きは
「観察して、観察して、本当の傍観者になる」
そしてその声にかぶる映像は、
PCのモニターから、モニターを見るタリウム少女、
その少女の住むマンションへと切り替わり、
さらに早回しでスケールを上げ、地球を俯瞰する。
この地球を俯瞰する視線は誰のもの?
カルト宗教のエピソードをパロディとしてちらつかされれば、
それはもう「神さま」です。
そうか、彼女は神さまになりたいんだ!
美容整形、肉体改造、生物解剖、遺伝子操作…。
生命プログラムを人為的に改竄しまくる、
創造主・タリウム少女のハイパー・カスタムメイドな新世界。
どギツいイジメにも達観と慈悲の心で
自らを客観視する優しい神さま。
「監視するのはあたしだけで十分」とばかりに、
小学生のランドセルについた発信器を踏みつぶす怒りの神さま。
世界を創造し終えた神さまは、自らのかわいいクリーチャーとともに
輝きながら闇のなかを疾走する——。
チャリで。
・・・・・・
こう観てみると、タリウム少女に共感する女の子が
存在するというのもありな気がする。
それにしても、この映画の魅力はなんといっても「倉持由香」。
あの目力、まさに神がかってます。
もっちーに惹かれる方はぜひ。
特に「制服女子高生ダンス」は必見ですよ。