先週木曜日、下高井戸シネマへ。
観たのは、毎年参加している「優れたドキュメンタリー映画を観る会」の一環として上映された『放射能を浴びたX年後』(監督:伊東英朗、2012年、配給:南海放送)。
実は観に行くかどうかかなり迷ったのですが、観て本当によかったです。
箇条書きで内容紹介すると、以下のようになります。
米国が1954年3月から5月まで中部太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で行った、ビキニ水爆実験で被ばくしたのは、本作を観る前の私自身も含め一般に考えられているように、第五福竜丸だけではないこと。
同時期に日本全国から付近に押し寄せていたマグロ漁船に一攫千金を夢見て乗っていた多くの若者たちも、同じように死の灰を浴び、放射性物質を取り込んだ魚や水を口にして被ばくし、40〜60代で癌で亡くなっていたこと。
にも拘らず1954年末日本政府は、ビキニ被災事件の「完全な解決」を条件に米国政府から200万米ドル(当時のルートで7億2千万円)を受け取って、それまで実施していた中部太平洋で獲れた魚や漁民の放射線検査、周辺海域の放射性物質の検査を全て打ち切ったこと。
しかも米国から支払われたお金は被ばくした漁民の補償には使われなかったこと。
何かおかしいと感づいていた者も石炭と魚で持っていた当時の日本で生きていくつもりなら、声を大にして抗議することは出来なかったこと。
そして…ビキニ水爆実験で大気中に大量に放出された放射性物質は風に運ばれて、遠く米国本土と日本列島全域に降り注いでいたこと…2011年の東電福島第一原発事故が起きる前の、いやそれどころかそもそも日本に原発が出来る前の時点で、日本の国民も国土も海も放射性物質まみれになっていたということ…。
あまりのショッキングな内容に暫くの間、心身ともに固まってしまいました。
日本政府の米国への隷属ぶりや敗戦前から続く棄民政策は悲しいながら「想定内」でしたが、米国政府がシュミレーションで予め予測出来ていたにも拘らず、ビキニ水爆実験で放出された大量の放射性物質が自国に降下するに任せていたことには心底驚きました。米国って本当に恐い国ですね。
是非皆さんも観て下さい。全国で自主上映会が開かれているようです。