2013-01-07

『LOOPER:ルーパー』クロスレビュー : 託すということ このエントリーを含むはてなブックマーク 

この映画は、誤解を恐れずに言えば、色々な意味で立場の入れ替わった『ターミネーター』であり、タイムトラベルを繰り返さない『バタフライ・エフェクト』であり、ホラー要素のない『オーメン』である。

こう書くと随分安っぽく聞こえるかもしれないが、非常によく練られたSF映画なので安心して欲しい。
設定ががんじがらめだったり、一部の人間だけが持つ特殊能力という設定があまり活かされてなかったり、時代の異なる同一人物を演じているはずのジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィリスが似ても似つかなかったりと、ツッコミどころは多いものの、息もつかせぬ展開と痛快なアクションでお釣りがくる。

特に印象的だったのは、主人公ジョーの価値観の変遷だ。
いずれは自分の手で幕を下ろさなければならないことを承知の上で、30年経過後の余生と引き換えに高額の報酬を得ながら生きる ”ルーパー”。そんな刹那的な殺し屋の一人であった彼にも守るべきものができ、その者達のために奔走する。
そして、相容れない目的を持って動く未来の自分、および最悪の宿敵である ”レインメーカー” と最後に鼎峙したとき、現代のジョーは誰よりも巨視的な観点に至り、最善の選択を悟るのだ。

決して後味が良いとは言えないかもしれないが、そこには希望が確かにある。
タイムトラベルにはタブーがあるかもしれないが、自分自身を出し抜くことはタブーではない。
自分を超えたいと思っているそこのあなた、2013年の映画初めとして、是非。
(若干無理のある着地で失礼。。)

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gin_and_tanic

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gin_and_tanic

“お先真っ暗です。”


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