最後の怒れる若者もすっかり恰幅良くなり円熟味を増してきた。
ポップス~映画界の巨匠バートバカラックや
ニューオリンズのアラントゥーサン、
クラシック界の歌姫アンネソフィーフォンオッターとの共作。
バレエ音楽を手掛けノースシージャズフェスティバルにも参加。
奥さんダイアナクラールのアルバムに歌詞や曲の提供。
衰えない制作意欲に脱帽。
しかし何処かにまだポップス職人としての彼の姿を求めている。
バカラックとの後のウェンアイワズクルーエルのように、
ノースの後のデリバリーマンのように。
そしてアラントゥーサンの後を受けた新作モモフクように。
レコードの先行リリースでそこにデジタル配信用の
アドレスとコードが記入されているという面白い手段。
これによってLPもCDも両方を買わなくても良いという
良心的な販売方法。
日本盤発売はいつになるのか?
昨日、ようやくDLも終えi-Podにも移した。
前置きが長くなったけれどモモフクが届いた。
宇宙へ飛び出すロケットのごとくギターの音に宇宙を感じ
背筋をゾクゾクさせたロックアルバムなど随分久しい。
久しぶりにシビレた。
そうそうコレが聴きたかった。これを待っていた。
ウェンアイワズクルーエルにあった
激しいロックと同居していた
コステロが作る緻密なドラムループとかは控えめで
デリバリーマンのような何かがしっくりこないなぁという感じもない。
アトラクションズと訣別しインポスターズを迎えた2作目は
バンドサウンドを中心としている。
スティーブナイーブのオルガンが初期のコステロを思わせるし
SONG WITH ROSEはポップで美しい。
歪んだギターが聴けるSTELLA HURTも素晴らしい。
ジャケット内の写真にも写るJENNY LEWISのコーラスも効果的。
因みに彼女はコステロが絶賛するライロカイリーのメンバーで
ソロアルバムもリリースしているナイスなシンガー。
1枚目のB面は最近のジャズっぽい活動を思わせる。
聴けば聴くほど深みを増すようなアルバムだけど
ロックンロールの持つダイナミックなストレートな魅力も詰まっている。
最後の怒れる若者エルヴィスコステロ。
パンクの衰退、ポストパンクの波に乗り現れたニューウェーヴの代表格
ではあるがブルースやカントリー、ジャズ、ロカビリーなどを
ルーツに持つ懐の深さでGET HAPPYを最後にコステロは
ロックやニューウェーヴの範疇におさまらない活動を見せる。
コステロの代表作のひとつセカンド『ディスイヤーズモデル』との出会いは
衝撃的だった。
曲が短くポップで速くてかっこいい。
ギターは歪んでいなくて歌詞はインテリ。
イギリスっぽい。
布袋氏もこれでポップス職人として認めたと言った
『アームド・フォーセス』や
20曲収録の『ゲット・ハッピー』など
万華鏡のごとくキラキラしたメロディアスな
曲を絶えずリリースしていった。
スクイーズのプロデュースや
デイヴ・エドモンズに曲提供なども挟み、
『おめでとう。あなたが手にしているアルバムは史上最低のアルバムだ』
なんて自身がライナーで書いていたりするアルバムもあった(笑)
スクリッティポリッティのあのグリーンが
あの風貌になってしまったのが今でも驚きだけど。
レディオヘッドのトムが好きなボーカリストはコステロらしい。
オールタイムフェイバリットはキングオブアメリカンズとはなかなか渋い。
ポールマッカートニーとの共演作『スパイク』はヒットしたが
僕としては久々ニックロウやアトラクションズを招いた
『ブルータルユース』がワーナー時代の作品では好きだ。
あとはカバー集のように言われて本人様が憤慨していた
『オール・ユーズレス・ビューティ』もかなり思い入れが強い。
初めて僕が行ったライヴはコステロのライヴでそれが
アトラクションズとの最後の来日だった。最前列で見たライヴ…。
オープニングはアンコンプリケイティッド。
デビュー30年。
ロッカーとしての久々の来日を待っている。
2004年以来見ていないコステロのライヴ…。
あの荒々しく疾走感のあるライヴが好き。
是非とも来日してください。