「フィルムからデジタルへ」という副題がついていますが、これは、単に技術の話ではなく、100年の映画史、映画製作の変遷についての考察をドキュメンタリーにした作品です。
キアヌ・リーブスが、名だたる監督(Directer)だけでなく、普段見ることがない撮影監督(Cinematorgrapher)、編集(Editor)、特撮(VFX Engineer)、カラー(Colorist)、機材メーカー(Red Digital, Silicon Imaging, Sony)にまで、「デジタルの技術力、芸術性、衝撃」というテーマでインタビューするという手法をとり、映画の今を映します。
一般消費者市場のカメラもフィルムからデジカメに軍配が上がった感あります。画素数がどんどん上がりきれいなデジタル画像を撮ることができます。映画の現場でもデジタル技術の進化によりフィルム現像に取って代わっていく様子が次々に語られます。
インタビュー内容は、映画の表側の俳優や脚本ではなく、映画の演出、撮影、編集、配給、映画館上映の話ですので、映画業界が置かれている現状について理解が深まります。
ティーチインなどで映画について監督から話を聞く機会はあっても、撮影監督や編集者に製作の裏話を聞くことはなかったので、それぞれの映画の撮影、機材、編集、上映館の逸話を一挙に聞くことができます。何より嬉しいのは、インタビューされた人々が皆映画への情熱を持ち映画への思いが深いことです。
長いインタビューから必要な会話を選び、編集の妙技を魅せてくれるのは、ポストプロダクション(フィルム処理や編集)に携わっているクリス・ケニーリー監督ならでは。
グッジョブ、満足度200%です。
エンタメ要素は少ないのですが、過去の名作のシーンが次々に現れ、映画ファンとしては嬉しくてわくわくしちゃいます。ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』にはじまり『カサブランカ』、『風とともに去りぬ』、『スターウォーズ』、『ターミネーター』、『スラムドッグミリオネア』、『アバター』、『47 ronin』の撮影現場まで!
映画製作の教科書にもなりそうな。
映画好きの人なら、絶対お薦めです。