2012-10-14

『ミラクルツインズ』クロスレビュー:命を繋ぐということ このエントリーを含むはてなブックマーク 

とにかく多くの人たちに見て欲しい。
臓器移植経験のある3歳の息子を持つ親として、そう感じました。
そしてこの映画を通じて臓器移植や臓器提供について、是非家族や友人と語って欲しい。

「大学に行きたいの。それまで生きていればね。」と語る幼いアナベルとイザベル。
移植が必要とは、移植しないと死んでしまうということ。

先天性代謝異常であるオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症を生後2日目に発症した息子は、高アンモニア血症により一刻も早く透析が必要でした。
小さな体は沢山のチューブに繋がれ、薬で眠らされ日に日に浮腫んでいく我が子。本来ならミルクを飲んで寝て泣いてとだけしていれば良いはずなのに…。抱くこともミルクをあげることも出来ず、生きるか死ぬかもわからぬまま数日間ただただ涙に明け暮れました。
そこで医師に告げられたのは「重症の場合、予後が厳しく1歳までの生存確率は10%。治癒する唯一の方法は肝移植。」ということ。
幸運なことに父親からの生体肝移植が可能であったため、生後8ヶ月でほんとうにギリギリのところで手術が間に合いました。

イザベルの再移植もまた切迫する状況の中なんとか命を取り留めることが出来たのでした。私はそれを涙ながらに語るご主人に共感し、彼女達や息子が生きていることに改めて感謝せずにはいられませんでした。

病気こそ違えどやはりアナベルとイザベル、そして他の患者達もまたその家族も大変な闘病生活を送って病気を乗り越えていました。その姿や現状はニュースや新聞で目にする「臓器移植」という活字だけでは想像もつかないであろう現実です。
日本では臓器移植が非常に少なく遅れている国だと言えるそうです。
彼女達と同じ嚢胞性線維症を患う日本人の男の子のシーンはショッキングでした。こんなにも苦しんでいるのに日本で生体移植の出来ない肺を患ってしまったため、回復する見通しがないということ。それが臓器移植法の改正により、わずかながら希望を持つ事が出来るようになりました。
このような現実がインタビューやデータによりとてもわかりやすく語られているのです。

私はある時期まで息子の病気について積極的に周囲に話す事はしませんでした。おそらく臓器移植経験があるということなどを理由に幾度となく保育園の入園拒否をされたりした経験から、臆病になってしまっていたのでしょう。
この作品により多くの事に気付かされました。
息子が胸を張って精一杯生きる事が出来るように私たちがそのお手本を見せるべきだと。
不安はいっぱいですが、むしろその経験を糧に素晴らしい人生を送ることが出来るように。

『ミラクルツインズ』により今後さらに多くの命が繋がりますように。

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コメント(1)


  • tomo_masu 2012-11-13 10:08

    訂正:
    「日本で生体移植の出来ない肺を患ってしまったため…」→
    生体肺移植は行われていました。日本国内で行われている肺移植の約半数は生体移植だそうです。誤った情報を掲載してしまったことをお詫びします。

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