2012-09-20

『希望の国』クロスレビュー:思っているけれど、言いにくいこと このエントリーを含むはてなブックマーク 

この映画は、遠い誰かのことではなく「わたし」の話なんだと思う。
きちんと向き合って震災のことを描いてくれていて、嬉しかった。

震災のことは放射能問題も含めて、私たち一人ひとりがこれからも向き合っていく課題だと思う。けれど毎日忙しいし、強烈な体験も日常に風化されていってしまう。
この映画を見て、それでも忘れてはいけない事を思い出した。

園子温監督の映画は、エキセントリックなのでちょっと苦手かな……と思っていたけれど、俳優陣の熱演もあるし、家族との繋がりを丁寧に描いているので、最後まで面白く見る事ができた。静かで力強い音楽の影響もきっと大きいと思う。

妊婦であるいずみが、放射能恐怖症になっていくくだりは、滑稽すぎて思わず笑ってしまう。けれど、自分がもし同じ立場だったら、きっと笑えないんだと思う。

この映画の登場人物は、一人ひとりが自分の人生を生きていて、それがかっこいい。
きっと毎日同じような生活をしているんだろうけれど、その毎日の繰り返しが積み重なって大きな絆を築き上げていく。
大切で普通で当たり前な日常。
そんな風に当たり前に普通だった人生が、震災で大きく変わっていってしまう。
すごく悲しいことなのに、それすらも日常の中に流されていく。
それでも、前へと進んでいく人間の強さってすごい。

そして、ずっと忘れてはいけないこと……。

映画を見て、まるで自分のことのように震災を身近に感じることができた。

もし、自分よりうんと若い世代の人に震災のことを話すときがきたら、「この映画を見るとわかりやすいよ。」と伝えたい。

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LASVEGAS

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