映画って文化だと思うんです。
でも商業でもあるわけです。たくさんのスタッフ、キャストが関わり、何ヶ月も月日かけ、たくさんの費用を費やした上で、やっと一般公開となるわけですから。
だったら、たくさんの人に観てもらい、動員数と興収を挙げ、それなりに利益も必要でしょう。
映画『ヒミズ』で、東日本大震災を取り入れた園監督が、今度は、原発事故を被災者側から捉えた映画を作った・・・・と知り、ひとまず観てみよう!という気持ちに。
ヒットするかしないか?エンタメ性はあるかないか?大衆向けするかしないか?・・・・
いろいろな思いをめぐらせて、試写会に参加させていただきました。
この手の作品は、ひと言でいえば、「無い」という言葉で片づいてしまうかもしれない。
商業的にどうか、という観点でいうならば、ですが・・・。
去年起こったばかりの災害、事故なのに・・・ 被災地はいまだに問題が解決されていないのに・・・と、言ったところで、被災地とかけ離れた地域に住む人々にとっては、徐々に遠のく事であることも事実。
そんな中、被災地の石巻や福島に何度も足を運び、役所の方や避難所の方たちに取材したという監督。
事実を伝えたいという、監督の真摯な態度や心遣いが、本編で感じられたものでした。
地震、津波の被害には免れたものの、原発事故により、生活が一変した時、人々は、何を思い、どう行動するのか・・・・。
小野家の老夫婦と、その息子夫婦。隣の鈴木家夫婦に、若い息子&恋人。
それぞれの立場が異なり、家を守ろうとする。身を守ろうとする。愛する人を守ろうとする。
にもかかわらず、、避難しながらも、常に不安がつきまとう息子夫婦や、認知症の妻のため避難を拒む、老いた夫の、なんというリアルさ。
救いがなくて・・・やりきれない気持ちにもなり・・・・。
しかし、ドキュメンタリー映画とは違い、情感も表現されていることに注目。
父親(夏八木勲)を慕うあまり、30にもなるというのに、どこか子どもっぽい息子(村上淳)に、少々イライラしながら観ていたものでしたが、
妊娠した妻(神楽坂恵)とお腹の子を守るため、その息子は、ある決断をする。
優しいが、情けないその息子に、毅然とした態度で送り出してやる父親。この父も、ある決断をする。
親に反抗的だった隣家の息子(清水優)は、津波で両親を失った恋人(梶原ひかり)と、ともに生きていく決断をする。
若い二人は、ラストで、「一歩、一歩、一歩・・・。」と、声をだし、被災の地を踏みしめて歩く。
そうね、そうだね・・・・決断をして、前に進んでいかなければ、何にも希望は生まれない。
監督のねらいだったのかな?
この映画は、キチンとメッセージが存在していました。
文化なる、あるメッセージが私には感じられました。
胎児の被曝を心配しながらも、身重の妻が、不安がる夫に言った言葉・・・・・
「愛があるから、大丈夫。」
「愛があるから、大丈夫。」
この先なにが起こるかわからない、どうなるのかもわからない、・・・・けど、
「愛」さえあれば、乗り越えていけるということ!
未曾有の大災害を、「愛」で切り抜けて来たニッポンだもの。
これからも、困難は「愛」で補っていけるサ!
これは、この映画のメッセージでしょ? 最後に響きました・・・・・。