私たちは、結局のところ人生に何を求めているのだろうか。平穏や安堵だろうか、それとも幸福?それも重要なことだろう。しかしそれらが永遠に続くことはあり得ないと言ってよい。人生は偶然と必然の間に横たわる不条理によってしか動かないことを、私たちは既に知っていたはずである。その中で、平穏さそれのみを求めて生きること程愚かなことは無いだろう。
『わたしたちの宣戦布告』は2人の夫婦の闘いの映画である。物語の構成は、息子の病気が発覚されるまでとその後にほぼ2分されるが、この夫婦を演じる役者(実際に2人はパートナーであったと云う)の存在感は、前半とは比べられない程に、後半で強まる。そう感じるのは、編集の絶妙な巧さだけによるものだけではなく、二人の闘いの場を、私たち観客が共有するからであろう。彼らは、運命と闘い続けることで自分の存在を唯一無二にしてゆくのだ。
この映画は私たちにこう語る。私たちが本当に求めるのは、闘いである、と。闘うこと、闘い続けること。一方向の流れの中を逆流し続けること。生の閃耀は、何かを得た時ではなく、その道程においてこそ立ち現れるのだから。