2012-07-17

『籠の中の乙女』クロスレビュー:この子供たちはどこへ行くのか このエントリーを含むはてなブックマーク 

 この映画を見終わった後、まるで知らない場所に放り出されたような不安な気持ちになった。いったい、この子供たちははどこへ行こうとしているのか、家族はどうなるのか。
 子供を守るために外の社会と遮断するのは、シャマラン監督の「ヴィレッジ」のようでもあり、悪意のある行動はハネケ監督の作品にも似ている。
ありえないような虚構の設定ではあるが、危険な単語は全く別の意味を与えらたり、門の外は危険と教え込まれて外界に出てはいけない、とすり込まれるのは現実社会でもあり得ることで、比喩的にみると笑ってばかりはいられない。
また倫理観はないのか、両親は共犯者となり、嘘をつき、息子のために娘を差し出す。
 そして、家を出られるのは、原題になっている”犬歯”が抜けた時という。子供たちは純粋に信じ、その純粋さが凶器となり、あらぬ方向へ進んでいく。あまりにもシュールな世界でとても一言では言い表せないが、次の作品はどんなものになるのか、期待もしてしまう。

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ミッチ

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