印象に残る映画だが、テンポがどうにもしんどい。。会場では寝息も聞こえたが、それも仕方のない構成。監督 長編第1作らしいので、いたしかたないかもしれない。
心理描写を大切にしたのだろうが、テンポが緩すぎて 緊張感が切れてしまうのでは、せっかくの演出が台無し。。。
(映画館ではなく、DVDで鑑賞したら 早回しで30分もかからず観終わってしまうだろう)
映画の主テーマには沿っていないかもしれないが、小学校高学年の女の子同士の安定と不安定が交錯する思春期心理の描かれ方が感心した。監督自らのキャリアが生きてでき得た言葉と映像による表現であるような気がする。(このへんは、ドイツの映画祭での子供の鑑賞者にもよく理解できたのではないかとも思う)
目を奪われたのは 主演の女の子よりも、奥様を亡くしだんだん頭が変になっていく お父さん役の俳優がなかなか上手で、印象に残る。
親を亡くした子供は、周囲が思うよりも冷静であることが多い。成長中の子供の環境適応能力は、思ったより素早いからと思われる。むしろ、大人の方が(この映画の場合 お父さん)の方が、環境のあまりの変化に適応できないことは リアルな表現なのかもしれない。
特に亡くなった奥様の作っていた庭の花が、お父さんが世話をしていて 水をあげてもあげてても枯れていき、ノイローゼになっていく伏線になっているところは、説得力のある表現である(言葉で書くとむずかしいので作品の映像で確認してもらうしかないが・・)
その花々を 主人公の娘は 発達障害の親友からのアドバイスで再び 花を咲かせていくところは 救われる。
ロケ地もなかなかいいところで、川が印象的に使われている。
またお父さんが 夜中 駆けていく住宅街の坂も印象的。
行ってみたくなる場所だ。