この映画は、三女が長女と次女を激しく憎んでいる設定から始まります。15年前、両親亡き後、当時まだ高校生の自分を置いて出て行き、今の今まで一度も帰ってこなかったからです。三女が怒りを爆発させ、それに長女が対抗し、次女がどこか冷静にその様子を眺めている図は、救いのない現実をそのまま突きつけられているようで痛々しいです。
しかし、物語が進むにつれ、三人とも他に行くあてもなく、実家に「戻るべくして戻ってきた」ということがわかります。それぞれが、それぞれの行き詰まり、行き辛さを胸に秘めて生きているのです。
映画の終盤で、それまでずっと強がっていた三女が、怒り、叫びながら、自分の弱い部分を吐き出します。そして、自分の話を無視して踊り続ける長女につかみかかりますが、結局抱きついて泣くような形になり、そこに、様子を眺めていた次女も体を重ねます。
表面上は憎み合っていても、結局は姉妹、家族。三女が度々発する「まぁ、何とかなるか」という言葉。終盤で次女が突如発する「また未来を前向きに生きていくぞ!」という趣旨の宣言。他に頼るものが尽きても、姉妹3人で寄り添ってたくましく生きていくのです。
最後にちょっぴり救われ、元気をもらえる映画でした。