2012-01-28

「フリドリクソンの劇場未公開作をレア上映!」 トーキョーノーザンライツフェスティバル2012 作品紹介 File.04 『エンジェル・オブ・ザ・ユニバース』 このエントリーを含むはてなブックマーク 



【上映日時】
① 2月11日(土)/21:15
② 2月15日(水)/16:30
③ 2月17日(金)/14:00

◆フリドリック・トール・フリドリクソン監督特集 -Friðrik Þór Friðriksson-

『エンジェル・オブ・ザ・ユニバース』
■ 原題:Englar alheimsins/英題:Angels of the Universe
■ 監督:フリドリック・トール・フリドリクソン(Friðrik Þór Friðriksson)
■ 出演:イングヴァール・エッゲルト・シグルズソン/バルタザル・コルマキュル
■ 2000年 アイスランド/ノルウェー/ドイツ/スウェーデンほか ■ 100min ■ 言語:Icelandic
【受賞】 2000年エッダ賞(アイスランド・アカデミー賞)最優秀作品賞ほか

※国内DVD未発売/劇場未公開

【ストーリー】
画家志望のポールは、激しいタッチの絵を描き、恋人の耳元で自作の詩を口ずさむような 芸術家肌の青年。恋人に去られたことをきっかけとして精神の均衡を崩していく。
精神病院に入れられた彼は、そこで、ビートルズの曲はすべて自分の作品だと思っている作曲家を自称するオーリ、ヒトラーを信捧し精神病患者の排斥を訴える元インテリ青年ヴィクトールなど、奇妙な「天才仲間」たちに出会う。
ある晩、同室のピエトゥルが自殺する。葬式に参列すると言って病院を出たポール達は 「友達としての弔い」として高級レストランで無銭飲食の末、病院へ送り返される。
退院後も、働く事も以前のように絵を描くこともできないポール。虚しい日々が過ぎていく。
そんなある日、自分とは違い、成功して幸せな人生を歩んでいると思っていた、かつての親友までが自殺したことを知らされ、ポールは茫然となる。
「新しいリハビリ施設」と呼ぶ、移り住んだばかりの建物から出て街をさまよい歩いた彼は、深夜独り殺風景な部屋に戻り、深夜ラジオ局のDJにある曲をリクエストする…。

【作品紹介】
フリドリクソンの映画には、必ず葬儀と墓地の場面が出てくるといっていい。そして、それはほとんどの場合親和的に描かれている。『春にして君を想う』や『マンマ・ ゴーゴー』そして『精霊の島』にしても、墓地は死にゆく者にとっては最期に辿り着く 安らぎの場所であり、生きている者にとっては亡き人に語りかけるために訪れる場所である。
しかし本作の主人公ポールは、死んだ仲間の葬儀に参列せず、代わりに高級レストランでの無銭飲食を「友達への弔い」とする。これは、葬儀好きのフリドリクソンの映画では珍しい拒否反応である。
しかし死は、精神を病んだ主人公にとって、いつにもましてそばにある。健康で幸せだったはずの親友までが自殺したと聞かされた時のポールの動揺ははかり知れない。そ して、桟橋で「あんたの天使を忘れていないか?」と突然声をかけてくる不思議な老人は何者なのだろうか。
『精霊の島』で、絶望したダンニが、飼っていた鳩の小屋の扉を開き、解放されて遠く空に飛び立つ鳩たちを見送ったように、ポールの母もまた、最後に飛び立つ鳩を見る。
死そのものは悲劇に見えて、実は生の苦痛からの解放であり、自由な世界への魂の飛翔であるとフリドリクソンはどこかで信じているのだろう。
墓石を作る仕事に10年近く携わっていたというフリドリクソン監督は、「映画も墓石を作るような気持ちで作っている」と語っている。こんな変わった、そして誠実な映画監督がいるだろうか。(雨宮)

「トーキョーノーザンライツフェスティバル2012」公式サイト http://www.tnlf.jp/

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