2012-01-25

「フリドリクソン版“母に捧げるバラード”」 トーキョーノーザンライツフェスティバル2012 作品紹介 File.01 『マンマ・ゴーゴー』 このエントリーを含むはてなブックマーク 



【上映日時】
① 2月11日(土)/14:00
② 2月13日(月)/14:00
③ 2月17日(金)/19:00

◆フリドリック・トール・フリドリクソン監督特集 -Friðrik Þór Friðriksson-

『マンマ・ゴーゴー』(ジャパン・プレミア)
■ 原題:Mamma Gógó/英題:Mamma Gogo
■ 監督:フリドリック・トール・フリドリクソン(Friðrik Þór Friðriksson)
■ 出演:クリストビョルグ・キィエルド/ヒルミル・スナイル・グズナソン/グンナル・エイヨウルフソン
■ 2010年 アイスランド/イギリス/ノルウェー/ドイツ/スウェーデン
■ 90min ■ 言語:Icelandic
【受賞】 2010年エッダ賞(アイスランド・アカデミー賞)最優秀主演女優賞ほか

【ストーリー】
華やかな新作映画のプレミア上映会場、最前列で息子の監督作品『春にして君を想う』を 鑑賞するゴゴの顔は喜びと誇らしさに輝いている。
しかし、この時すでに彼女はアルツハイマーを発症していたのだった。母の奇妙な言動がエスカレートしていくのと同時に、息子の映画の不入りが状況をさらに混沌とさせていく。
チャップリンが大好きで、自分を映画の世界に導いてくれた明るい母が記憶を失い混乱していくことの哀しさ、自らの経済的破綻に追い詰められ、息子はとうとう母を老人施設に入所させることを決意する。
「施設から逃げ出す老人の映画を撮ったお前が私をそこに入れるのかい?」と皮肉を言う母に返す言葉もない息子。
しかしゴゴには、彼女だけに見える、ある大きな救いが存在していたのだった。

【解説】
『春にして君を想う』プレミア上映会場の壇上で「この映画を母に捧げます」と喜びに満ちた表情で監督が挨拶をするシーンから始まる本作は、フリドリクソン監督自身の実体験をもとに作られた作品である。
『春にして君を想う』は、アイスランドの自然美と、死へと近づいた老人への慈しみに溢れた映画であったが、公開当初は動員がふるわず、映画会社の社長に「雨の中を老人がさまよう映画なんて撮るとは思わなかったよ」と皮肉られ、監督自身が家や自家用車まで失いかけるほどの経済的惨状を呈した。
そんな窮状の中で母親がアルツハイマーと診断された頃のことについては、フリドリクソン監督は最新のインタビューで「大変だったよ。うーん、言うなれば現実を描いたホラーかな?」と苦笑混じりに振り返っているが、映画の中の母親ゴゴは、自分を映画の道へといざなってくれた母親らしい、尊厳と愛らしさを失わない。
そして、物語の中で彼女だけに見えている何ものにも侵されることのない世界には、シネフィルであるフリドリクソンらしい仕掛けがほどこされており、観る者の胸を映画だけが持ち得る奥深さで打ち震わせることになる。
それを実現させたのは、アイスランド国民から敬愛されているゴゴ役の女優クリストビョルグ・キィエルドと、亡き夫役を演じたグンナル・エイヨウルフソンである。
2人が1962年に共演した映画『79 af stöðinni』(79 of Station)が引用されることによって、映画はさらに深みを増すことになった。
「主人公を演じるのに適した女優は他にいない」と確信したフリドリクソンは彼女がゴゴ役にふさわしい年齢になるまで10年以上待って、この映画の撮影に入ったという。
2010年、封切られた『マンマ・ゴーゴー』は、アイスランドでは、同年の世界的大ヒット作『アバター』と競り合う程の大入りを記録した。(雨宮)

※『マンマ・ゴーゴー』上映後、2011年11月にアイスランドで収録したフリドリクソン監督のインタビュー映像を特別上映いたします。

「トーキョーノーザンライツフェスティバル2012」公式サイト http://www.tnlf.jp/

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