ジョン・レノンの近くにいた人たちの証言集や、プライベートな未発表映像を集めたドキュメンタリー。
貴重な映像や音源がたくさん入ってます。はしゃぐ声やカウントダウン。
みんなが本当にいとおしそうにジョンについて語ってる。それは音楽とともに生きた彼とは違う知られていない横顔であり、ニューヨークに恋して懸命に生きるジョン・レノンの無防備な表情でした。
彼の孤独と才能、弱さと強さがそこには映されていました。
ヴェトナム戦争に対する平和運動、アメリカ国外退去への裁判闘争、ヨーコとの別居生活、ロサンゼルスに移り住み、荒れるジョン。ヨーコへの想い。その後和解し息子とヨーコと穏やかでしあわせな暮らしを楽しむのびのびとしたジョン。
こう書いてしまうと陳腐に響くかもしれませんが、天才アーティストではない、ひとりの人間としてのジョン・レノンが見えてくるような気がします。
「自分には音楽しかない」とミュージックシーンに戻っていく背景、戻ってきた彼がどんなに音楽を楽しんで演奏していたか。
わたしはビートルズをリアルタイムでは知らないし、ビートルズについても詳しくありません。
ただ、映されていたのは、懸命に生きる一人の男、ジョン・レノンで、この映画を観ていると自分もジョンのそばでまるで一緒に70年代を生きていたような、彼をよく知っているような気持ちになりました。ジョンに寄り添って彼の見た風景を後追いできるような……。
優しく情熱的な彼の聴きなれた音楽をBGMに、ジョンが生きた時代が流れていきます。
線画のアートワークも素敵でした。