「現代ハイツギャラリー伝」(東北沢)で、谷口雅個展【春から夏へ、切断し旋回する四つの写真の試み】が始まっている。
4週にわたって開かれるこの展覧会月間は、小さなスペースで谷口雅氏の写真を週替わりで展示し、谷口氏が校長を勤める「東京綜合写真専門学校」の卒業生より選抜したと思しき4名の写真家(たかはしようこ氏、シンカイイズミ氏、森花野子氏、大沼洋美氏)が週替わりで展覧会をするものだ。
谷口氏は、現代写真に関心のある多くには説明など要らない写真家であるが、しかしアートから写真に関心を持った向きには意外と知らない人も少なくないだろう。我々が有名、無名と判断している作家の集合や、これはドメスティック、こちらは国際的な作家だという思い込みの多くは雑誌やメディアによる偏った情報で創られているということだ。震災は多くの既成の価値観の虚構を明らかにしつつあるが、そのしばらく前に目にしたJLGの「ソーシャリズム」を忘却することも許されないだろう。●●以後という言葉の本来の意味を体感し、アートのあるべき場所を知るためにも、残り僅かなこの展示に多くの来場者が来らんことを望む。また。今後も続くだろう谷口氏による静かで持続的な試みの価値を、自身の内面に照らしながらその美術の価値を自問自答すべきだろう。
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谷口雅 写真展
「春から夏へ、切断し旋回する四つの写真の試み」
現代HEIGHTS GALLERY Den.st
月~金15:00~25:00 *水曜休み
土・日13:00~25:00
4週連続で展示が行われます。
1:春、桜を撮っていた・・・6月30日(木)~7月5日(火)
2:街の闇の心地良さ・・・7月7日(木)~7月12日(火)
3:移動あるいは想起する日常性・・・7月14日(木)~7月19日(火)
4:水面を眺めてばかりいる・・・7月21日(木)~7月26日(火)