"Laugh now, but one day we’ll be in charge” =「今に見てろよ」
バンクシーがまだ一介のグラフィティ・ライターだった頃に残したメッセージだ。
その言葉どおり、数年後、彼は社会現象を巻き起こすことになる。今や、彼の作品に何十万ドルもの値が付けられ、英国では彼の作品が描かれたスポットを巡るツアーまで組まれる始末。
そんな喧騒を尻目に、バンクシーは「誰も知らない、知られちゃいけない」というグラフィティのルールに充実に従い、沈黙を貫いてきた。その彼が映像に収まったという。見たくないわけがない。そんな野次馬根性と、秘境が観光地化されるような寂しさを抱えて試写会に向かった。
面白かった。中だるみ一切ナシ。いくつかグラフィティのドキュメンタリーを見てきたが、本作の出来はずば抜けている。グラフィティに精通していなくとも、十分に楽しめるストーリー展開。そう、バンクシーの他の作品がこれまで多くの人々を惹きつけてきたのと同様、ポップなのだ。
やはり、ヒーロー。期待を裏切らない。