過酷な現実。逃れられない運命。思わず目を背けたくなるような悲惨な生活の中で、あるかなしかの活路を見出そうともがく、ハビエル・バルデム演じるウスバルの姿にスクリーンから一時も目が離せなかった。
それは、異なった現実に生きる困難な道のりを生きる者に共通な生きざまを彷彿とさせる。家族を守ること、残される子供たちにできるだけのことをする、そして、ただ生き延びるだけのために。何でもやる男の姿だ。
それはまた、随所にちりばめられたエピソードにみる、「生きるすべが見つからず、茫然とする人間たち」からもひりひりと伝わってくる。
そして、死と隣り合わせとなった父親の顔。バルデムが挑む、この過酷な現実にもがき続けるどん底の父親の姿がやはりすごい。
繰り返しくる家族への思いや、やがて迎えるであろう死にむかって、終結していく、すさまじくも荘厳な男の生きざまを見事演じきった、ハビエル・バルデムに心を強く揺さぶられる作品だった。
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