私はGONZOという存在を知りませんでした。
年末にシアターNでの劇場予告で興味を持ったため、バックグラウンドや生き様はこのドキュメンタリーで初めて知った若葉マークなGONZO初心者です。
映像中に『ラスベガスをやっつけろ』の場面が時々挿入されていたのであの主人公のことかと思い出したのですが・・・。
ジョニー・デップがトンプソンを演じていた『ラスベガスをやっつけろ』は全編ドラッグてんこ盛りでかな~り濃い映画だったのですが・・・。
実話で原作者だったとはびっくりです。
かなり強烈なキャラクター。
破天荒とはまさにこの人のためにあるもの。
そして半端ない魅力がある。
無茶苦茶なようでも、何か芯が通ってる。
だから多くの人々に愛されたのだと数々のインタビューから感じました。
ただ、観進めていくうちに、GONZOを名乗りながら、GONZOという器にもがいているようにも感じました。
ドラッグカルチャーが全盛の時代。
彼が本当に求めたモノが何だったのかはわかりません。
映像から時々、自殺したのも頷けるような喪失感も伝わってきました。
何かやるせなさを感じもしました。
表現することを楽しみ、楽しむためにもがき苦しみ逃げて、達した答えが「死」の中にあるのだとしたら・・・
自ら幕を降ろしたのは、逃げではなく、満足し納得した答えをみつけたからだと思いたい。
みる人の状態によって受け取るものが違うかもしれないけれど、彼が発した言葉の数々には単なる記者としてではなく、一個の存在として確かにパワーがあったのです。
このドキュメンタリーでは、私のように彼を知らなくても彼の底知れないパワーは感じられると思います。
メディアと共に作り出したGONZOと自分の中のホントのGONZO。
GONZOを作りたくて、GONZOになりたくて、GONZOを追い求めた彼の魂をみた気がしました。