2010-12-31

石橋英子『carapace』レビュー:亀の甲羅という制約 このエントリーを含むはてなブックマーク 

carapace: 1.(カメ類の)背甲、甲羅  2.(エビ・カニなどの)甲皮                                                      
体感試聴会の後のトークショウで語られていたが、今回の作品はピアノと歌(歌詞)からつくるという決まり事が、まず始めにあったようだ。そのことから、作品全体として一貫性が強く感じられる。歌詞(石橋英子が抱くイメージ)に対して非常に客観的に、音が選び出され、足されていくような印象を持った。前作のような、ドラムを軸に感覚的に音が足されるような曲は皆無で、冷静さを感じる内容だと思う。
曲の展開は相変わらずプログレ色が強く感じられた。しかし、本人はプログレを意図的に作るような演出を嫌っていると語る。その発言はつまり、今回の作品の手法からいって、歌詞(石橋英子が抱くイメージ)の複雑さを表している。体感試聴会では歌詞を聴き取ることは困難だったので、今は歌詞がとても気になっている。なぜなら、歌詞(石橋英子が抱くイメージ)を共有できたら、すばらしい内容の作品だと思うからだ。プロデューサーにジム・オルークを迎えたことも、作品全体の一貫性(ストイックさ)に繋がるのだろう。正直、ジム・オルーク色が強いと思った瞬間もあった。                                                         
今回の作品は、何か新しい方向へむかう予兆として、甲羅を背負うこととなった石橋英子。
甲羅の内側は彼女にしか見えない、その世界におおいに期待を寄せて、ただのファンとしてCDを買い続けるのだろう。

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