暗闇に落ちる光の粒のダンスから始まり、うっとりする毛布のような中盤をへて、汽車は終着駅へ着いた、小さな希望の灯を残して。歌を軸にしたある種シンプルな聴きやすさのなかに、新しい試みを織り込ませ、力強さと優しさが一体となって語りかけてくるような作品。複雑さはあるのですが、前作に比べどこか削ぎ落とされたような、クリアな印象もありました。石橋さんの核、のまわりの温い部分をすくい取ったような、温度、かがやきが、こころに響いてきました。乳白色のロウソクの炎みたいなものが、聴き終わった今も、私の暗闇に灯り続けています。
試聴会なるもの:いつもはヘッドホンで聴く『初聴き』を、真っ暗な部屋で、知らない人と一緒に聴くという、はじめての経験でした。音楽にまるごと包まれ、作品を肌で感じ・向き合う空間、とてもよい試みだと思いました。重低音や息づかいが直に伝わってきて、何度も鳥肌が立ちました。