2010-10-08

【『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』クロスレビュー】:大きな愛を感じた作品。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

「酔いがさめたら、うちに帰ろう」は、はじめのシーンから驚いた。
元夫がアルコール依存症で10回目の吐血をして病院に運ばれることを聞きつけた元妻は、慌てることなく、飄々としている元妻の姿。普通であれば、元夫に会いに行くのに少しは嫌悪の気持ちがあるだろう。普通であれば、かつて愛した人が死ぬかもしれないと慌てふためいて駆けつけるだろう。しかし、この映画では、アルコール中毒で死ぬかもしれない男を、大きな、大きな愛情で包み込んでいる女が描かれているのだ。

「大きな愛」を素直に受け止められたのは、主演の二人のすばらしい演技があったからだ。戦場カメラマンとして世界中で悲劇を目の当たりにした男が、とても優しいが故にお酒におぼれる姿を愛おしいとさえ思えるように表現する浅野忠信さんの演技と、彼の全てを受け入れ大きく包み込む様子を表現する永作博美さんの演技は、現実に存在するのではと思ってしまうほどだった。
 この映画で主演の二人の演技に加えて印象的なのは、アルコール中毒で入院した病院にいる入院仲間の人間くささだ。それぞれが問題を抱えアルコール依存になり、治療をしながら集団生活をするのだが、そこでも毎日が些細なトラブルだらけ。そのトラブルを通して仲間や先生と心が通じていく様子が、とても人間くさい。愛があると感じる。

この映画を見たあとで、人間という生き物の弱さとそれを乗り越えるための愛について
感じずにはいられなかった

キーワード:


コメント(0)


browntabby511

ゲストブロガー

browntabby511