2010-09-15

【『エル・トポ』クロスレビュー】裏切られ感 このエントリーを含むはてなブックマーク 

感想をひと言で表現するならば、「視聴者を裏切る映画」だ。
「もぐら」を意味するエルトポは主役として、格好良く居て欲しいと思う私を常に裏切ったのだ。

西部劇さながらに、猛者と対決するエルトポは悉く勝利するものの、後ろから攻撃したり卑怯な手段で打ち負かす。そして、勝利を手にした瞬間から栄光はその手から滑り落ちる。
「詩」的な映画との評価があるが、前半と後半の二部構成からなる内容は、仏教やキリスト教を感じさせる哲学的な問いかけもある。
結論らしい結論や、ストーリーらしきストーリーをことさらに主張しないこの作品は、秘密兵器がそのまま秘密のままに終わってしまうような不思議さがそこにはある。

モグラとして生きるエルトポ。
同じようにあがきなら、都合良い自分を演出しながら生きている自分自身を映し出すようだ。
何度となく観ることで、疑問を明らかにしたいという衝動にかられるが、賢ぶって理解しようとするのではなく、感じることが必要だろう。
考えるのではなく、直感することをお勧めする映画である。

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kazu

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