(今回は映画 Love of Siam のネタバレがあるので、まだ観てない方は、お気をつけください。)
~昨日の日記に引き続き~
2007年が、サイアムにとって象徴的だった年だったと思うのは、
センターポイントがなくなったこと。
私が大学院を修了したこと。
(かなり私的な理由ですが笑)
そして、この映画でしょう。
ラックヘーンサヤーム(Love of Siam)
『サイアムの愛(仮)』
実質的に、サイアムスクエアのセンターポイントをおさめた、最後の映画でしょう。
この映画、2007年のSubhanahongsa Awards(タイのアカデミー賞)で16部門のうち13部門にノミネートし、作品賞を含む3部門で賞を取りました。
Best Picture, Best Director and Best Supporting Actress (Chermal Bunyasak)の3部門です。
観た人なら知ってると思うのですが、
この作品、結構、すごいです。
1.マーケティング
タイの映画って、日本みたいにタイアップがあまりないし、
せいぜいテレビ番組とかコマーシャルくらいで、
よほどの作品でない限り、いつの間にか公開され、いつの間にか終了してて、
宣伝活動は、あまり盛り上がってない気がします。
この作品の場合、
マーケティング戦略として、当初、高校生の青春ラブコメとして売り出されました。
ポスターには可愛らしい男女2カップル、
予告編でも、いかにもなラブコメが展開されていました。
ちょうどGTH社系の青春モノが大成功していたので、それと同系列なのかと思ってました。
そして、実際に映画を観に行ってみると・・・
なんと!
そこには!
まぁ。
ゲイ&家族崩壊をテーマにした映画だったんです!!
実は私は観る前にちょっとウワサを聞いていたので知ってたのですが、
映画館の観客の反応は、
”衝撃”というか、
こう、高校生の男の子2人のキスシーンに、
どう対処していいのかわからない、
そんな雰囲気が漂ってました。
クスクス笑いが多かったのですが、
こういうときって笑っちゃうもんなんですかね。
2.上映時間
2時間以上です。150分くらい。
タイ映画としては、かなり長いです。
それでもすごいのが、その時間を感じさせないこと。
はいっていけます。
ちなみに、2008年1月からディレクターズカットヴァージョンが上映されていたのですが、
そっちのほうは、なんと3時間以上。
それでも、熱狂的なファンが多く、連日満員だったようです。
(少なくとも私が観に行ったときは、本当に満席でした。タイでは珍しいです。)
3.これこそ、タイの縮図です。
飲んだくれのお父さん、
稼ぐお母さん、
わがままなハイソ系女の子、
カッコいい男はみんなゲイ、
それを追いかける夢見がちな女の子、
ああ、タイ。
4.タイ初のクリスマスムービーです
暑くても、半そででも、汗かきつつでも、クリスマスはあるのです。
仏教のイメージが強いタイで(実際に9割以上が仏教徒)、
主人公トンのおうちがキリスト教徒という設定であり、
新鮮かつ斬新です。
5.音楽もよい
バンドの話なので、音楽がいっぱいです。
オリジナル・サントラの出来もよく、
私もけっこう聞きこんでます。
内容を簡単に説明します。
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ご近所で幼馴染の男の子、トンとミゥは大の仲良しです。
ミゥは両親がおらず、おばあちゃんと二人暮し。
一方、トンは両親にお姉さんの暖かい家庭で育ちます。
ある年、トン一家は家族旅行でチェンマイへ行きます。
年頃のお姉ちゃんは家族との旅行のあと、
友達と一緒にもう数日チェンマイに滞在するといいます。
そして、先にバンコクへ戻った家族に届いたニュース。
お姉ちゃんの行方不明・・・
そしてトン一家は引っ越すことになり、ミゥとは離れ離れになります。
ここでタイトルが出て、物語が始まります。
(タイ映画では珍しく、タイトルが出るまでの時間が長いです。)
そして、
トンとミゥは高校生になり、
偶然にもサイアムスクエアで再会します。
そしてふたりは・・・
~~~
このあたりで止めときます…
さて本題ですが、
この映画、タイトル通り、
サイアムが舞台です。
知ってる場所がたくさん出てきて、
ムッチャ盛り上がります(個人的に)。
たしかにゲイ映画なんだけど、
あまりアクは強くなく、
どちらかというとボーイズラブっぽい雰囲気です。
青春ラブコメという点では、決して嘘ついてません。
だからゲイ向けというより腐女子向けかな?
タイではかなり広い観客層に受け入れられたようです。
Subhanahongsa Awards(タイのアカデミー賞)で作品賞を、
とってしまうくらいですから。
監督は、前作の『レベルサーティーン(13 Beloved)』も好評で、
日本でもDVDで観られる数少ないタイ映画作品の一つになってます。
そして、この監督、若いです。
1981年生まれ!まだ20代ですよ!!
名前は、Chukiat Sakweerakul、
映画関係者は、この監督に目をつけておいたほうがいいですよ。
(私は、別に関係者ではありません)
本場のアカデミーでも、
『ブロークバックマウンテン』がいい線までいったように、
良質なゲイ映画が、セクシュアリティーを超えて、受け入れられているようです。