先週の金曜の夜はライヴを聴きに自由が丘に、土曜の夕方は映画を観に国分寺に行って来ました。
金曜の会場は、三月のko-ko-yaのライヴ同様、自由が丘の宮本三郎記念美術館。出演する扇谷一穂さんのことは実は全く知りませんでしたが、演奏者のごく近くでとても安価に生の音楽が聴けるので、四月末に予約。
http://www.miyamotosaburo-annex.jp/
時間的に余裕を持って行くつもりが、いろいろとバタバタしていたせいで、開場時間過ぎに到着。しかし不幸中の幸いとでも言うべきでしょうか、リハーサルが長引いたため、開演ギリギリまでライヴ会場の二階閲覧室まで入れませんでした。とは言え、そんなに広くない一階で三十人以上の人と一緒に待たされたので、人混みが苦手な僕にはかなり苦痛で不快でしたが。
扇谷さんは恐らく三十歳前後の女性。歌声はハスキーですが話し声は普通。MCが未だ素人っぽいのが、逆に新鮮でした。
今まで彼女の曲は、YouTubeで公開されているのを一度片手間に聴いただけなのだったこともあり、正直、最初のうちは今ひとつ入り込めませんでした。
ただ、途中のMCでの彼女とサポートメンバーのやり取りの中で、扇谷さんは元々絵を描いているせいか、視覚的なイメージを元に音作り、曲作りをしているという話を聴いてから、演奏される曲のタイトルが喚起する視覚的なイメージを念頭に置きながら演奏を聴くようにしたら、何かしっくり来るような気がしてきました。
僕も何か視覚的なイメージを元にして、論文を書こうかな…って、ま、それは無理(苦笑)。ただし、具象的なものではないにしろ、論文を書く際にも、何らかの具体的なイメージをもって書かないと、いいものは書けないような気はずっとしています。
扇谷さんは、どちらかと言えばボソボソ系のヴォーカルで、次の日聴いたサエコさんの圧倒的な歌声と比べると、単独で取り上げれば正直見劣りはするけれど、演奏はよかったしライヴも楽しめました。
帰りは自由が丘駅前の某自然食品店で閉店前の半額セールになっていた弁当を買って、行きと同じく渋谷からは歩いて帰って来ました…楽しかったけれどちょっと疲れた。
翌土曜日は、映画『1/4の奇跡——本当のことだから——』(監督:入江富美子、出演:山元加津子、阪根博、村上和雄、昇幹夫他、2007年)を観に国分寺へ。結構有名らしいこの映画の存在も全く知らなかったのですが、三月のサエコさんのライヴで貰ったチラシで、上映前のサエコさんのミニライヴ込みで1000円だったのに惹かれて(貧乏って悲しいなあ〜苦笑)。
『イマジン』のカバーも含めて四曲のサエコさんのミニライヴは、相変わらずすごくよかったです。
『1/4の奇跡』は、特別支援学校の先生の山元加津子さんが、心身に障碍をもった子ども達との出会いを通じて得た体験を元にしたドキュメンタリー。
冒頭の入江監督の「ありがとう」の話や、やや舌足らずな山元さんの話し方、とりわけ或るエピソードの中の文字通り「奇跡」的な出来事の下りには、違和感を覚えました。
他方で、障碍者があがめられていたとされるインカ文明の話からは、業績原理や競争原理から離れた存在、生存、生命理解のヒントを得たような気もしましたし、障碍を持つ人々の遺伝子が人類全体の生存にとっても持つ決定的に重要な意義についての話も、興味深く思いました。
しかし、今日この日記を書くのに、作中に出て来る「著名人」を検索したら、経営者団体と結びついた反動的精神修養団体や、オカルトとショーヴィニズムを結合させた最悪の右翼「疑似」知識人・渡部昇一を中心に据えた雑誌など…怪しげな情報が次から次へと出て来る出て来て…ウエェ〜。
「心の教育」に一役買うことで昨今の公教育の国家管理の片棒を担いだ河合隼雄の例が示すように、先住民族のスピリチュアリティといったオルターナティヴ系の発想は、相当注意しないと、少なくとも日本では体制迎合的で右翼反動的な流れに絡めとられ易いことを改めて痛感させられました。
例えばPHPとかを念頭に置いてもらえるといいと思うんですが、ネオリベを推進する経営団体ー保守反動政治ースピリチュアリティって、結びつき易いみたいですね。
入江監督や山元さん自身には、恐らくそんな政治的意図はないんでしょうし、作品を全否定するつもりはありませんが…。
上映終了後、駅ビルの三浦屋を素見してから電車に乗り、中野からはウォーキングで帰宅。
しかし、幡ヶ谷から国分寺は遠かったです。