東京はここ二三日、いきなり初夏の陽気になりました。何もせずにいても手や顔がジットリと汗ばんでくる、蒸し暑い日本の夏が苦手なので、個人的にはあまり嬉しくないです。
僕のゴールデンウイークは、なかなか出ない共著の会議、ドキュメンタリー映画観賞、ずっと気になっていた「うさと」の服購入、いつもの英文記事の要約、自分の論文の英文要旨の執筆で終わりました…。
氏素性が分かってしまうようなプライヴェートなことを、公開している日記に書く訳にはいきませんので、先週土曜日の夜、いつも行く下高井戸シネマで行われた、優れたドキュメンタリー映画を観る会によるプログラムの最後に上映された、『祝(ほうり)の島』(監督:纐纈(はなぶさ)あや、製作:本橋成一、2010年)のことを少し。
この日は、午前中家事と買い出しを済ませ、午後池袋で共著の会議へ…と、貧乏な反面時間だけはたっぷりあって、のんびり生活をしている僕には珍しく、忙しない一日でした。
28日(水)の『彼女の名はサビーヌ』が予想外の生協だったので、上映一時間前に家を出て、ウォーキングで下高井戸へ。最終的には『サビーヌ』以上の入りで、ほぼ満席になったので、早く家を出て正解でした。
舞台は、瀬戸内海に浮かぶ、山口県熊毛郡上関町の祝島(いわいしま)。船を出して一人黙々と鯛を釣ったり、磯辺でウニを獲ったり、棚田を耕したりと、美しい島とその周囲の海に寄り添って、ささやかな暮らしを立てるお年寄りを中心に、Uターンして来た中高年のご夫婦や島で小売店を営む男性とその子ども達などの様子も挿みながら、島の人々の日常がごく淡々と映されていきます。最後の方で、故事に因んで四年に一度大々的に行われ、その時だけは人口500人の島の人口が倍増するというお祭りの様子も紹介されますが、メインではありません。このあたり、同じく祝島を舞台の一つとする、鎌仲ひとみ監督の新作とは違います。
島と海、そしてそこで生活する人々と並ぶ、この映画の「主役」は、1982年に持ち上がった、対岸の田ノ浦への上関原子力発電所建設計画に対する島民の反対運動の様子です。島の人々によって三十年近く続けられている反対運動は、今では日常生活の一部になっているようです。非常に残念ながら、現在建設のための埋め立て工事が始められる可能性が高まっているようですが、先祖から受け継いだ美しい島と海を子孫にも残したいという熱い思いに駆られた、普通のお年寄り、おじさん、おばさんが、デモ、座り込み、海上封鎖等を続けているようです。
個人的に、島と海の美しさ以上に印象に残ったのは、或る島の女性の口から吐露された、原発建設計画によって、島の人間関係が破壊されてしまったことに対する怒りの念でした。現在島は原発反対でまとまっているようですが、賛成と反対で島民が割れたせいなんでしょう、一時期実際に四年に一度の祭りも中止され、(恐らく神主が原発に賛成したからだと思われますが)島の神社には人が寄り付かなくなったとのこと。
映画や祝島のホームページ(↓)を観ると分かってもらえると思いますが、島とその周囲の海は信じられない程にきれいです。
現在の民主社民国民新の政権には、普天間の沖縄県内移設決定等で、ここへ来てガッカリさせられてはいます。しかし、例えば(どれほど微々たるものであれ)貧困問題への取り組みなど、基本的にはネオリベ、ショーヴィニズム、対米従属一辺倒だった、以前の自公政権よりもよりずっとマシだと思っています。しかし一点だけ、官民一体となった原発の海外輸出など、その積極的な原発推進政策だけはいただけません。上関原子力発電所の建設工事が本格的に着工されるような事態が起こることを、強く危惧しています。
追記:個人的に現在、まさにどん底状態…運が向いて来ますように…幸運を掴むためにも、しっかり、自分!