社会や自分にもなんの期待を持たず。脱力感と冷めた物腰。
だけど本当は自意識まみれ、まだ外にも内にも少し期待している気持ちが残っていて、
状況を認めきれていないからひねくれている、ありがちな今の若者の主人公。
そんな主人公が全て開き直り、自分と周辺をすべて肯定して生きて行くことにした
ことで身辺に少しずつ変化が起きてくるストーリー。
主人公の小心者さと開き直った時のキレっぷりのギャップが人間らしくて好きだった。
実家のしじみ加工工場に戻ってきた主人公は、従業員のおばちゃん集団から冷遇を受けていたが
ある日開き直って胸の内を叫びきる。
「私は所詮中の下の女ですから!」「中の下じゃない人なんているんですか?!」
そして、そのあとまたすぐに戻ってきて、
「すいません…言い過ぎました…」とごもご言い訳しながら謝っていて笑えた。
普段のくすんだ目と開き直って熱弁をふるう時の狂った熱い目がすごく印象的で
満島ひかりの演技は生命力を感じる。
それと、工場のおばちゃんたち出勤時の堂々とした着替えのシーンが迫力があって観どころ。
中年太りの体にシルクのシミーズつけてたりしてて、微妙に艶かしい。
このおばちゃん軍団の重量感はすごい。
敵に回しているときは恐ろしいけれど後半、同調してからは団結力にものすごい愛を感じた。
主人公を野次っているとき「顔色悪いし」って発言が個人的にツボ。
主人公の彼氏のダメ男は、女にだらしないけど憎めない感じで、そこがまた腹が立つ。
ケータイ小説書かせたら上手いタイプ。
こいつにまで開き直る主人公はすごいと思うけどここは共感できない。
映画を見終えて、
不自由はないけど充実することもなく、すごくいい事なんて滅多に起きない世の中。
開き直ることは快適に今を生きていく術なんじゃないかと思う。
なんとなくでもそのうちすてきな人生になるかと思ってたけど
世の中も、自分もたいしたことないのよくわかってきたし
宝くじとかあたんねぇし
うだうだしてるのもあきてきたし、がんばるか。
てか、がんばるしかなくなってきた。
環境はそのままでも、まず気持ちだけ別ステージに行ってみる。
変化はおもしろいしそっちのほうがいいや。と20代半場の若者である私は感じた。