2010-01-31

あっさりした作品。その狙いは? このエントリーを含むはてなブックマーク 

今回の作品は、アパルトヘイトとネルソン・マンデラという伝説的な人物にフォーカスをあてた物語ではなく、それらをバックグラウンドとして、南アフリカ共和国初の黒人大統領として新生国家をあるべき国に導くためのマンデラの姿と時を同じくして同国で開催されるラグビーのワールドカップを題材として絞った作品である。

この映画でマンデラ役をこなす、モーガンフリーマンが実話に基づく原作を知り、映画化したいということで自らプロデューサーとして、クリント・イーストウッドに監督を依頼した経緯がある。当のネルソン・マンデラ自身も自分の役を演じてもらうならモーガン・フリーマンにとかねてからの思いであったようである。

作品は、思いの外非常にあっさりとした作品であった。
これは監督の狙いなのであろうか?
マンデラが27年間ものあいだの投獄、その思い。初の黒人大統領に選ばれるまでの道のり。大統領就任後の山積する越え難い問題の数々。融和政策を前面に出して政治することにより受ける危険性。それに伴う家族との関係。
これらを深く掘り下げて見せることはせず、それぞれを非常に平易に見せている。
映画的には、それぞれの問題での愛憎や激しい思いなどを描いた方が、見る側の感情を揺さぶり、高まりをもってラストにつなげることが常套であると思われる。

それをあえて排除し、諸々の深い問題の糸口をみせながら、淡々と流れるようにストーリーが展開していく。
これは、偉人物語であの人はやっぱりすごい人だという人物の魅力で終わってしまうものではなく、実際の世界で存在する問題、それを解決するための思考・思想の在り方に思いを馳せてもらいたいということが本来の目的で、それを諸々の糸口を投げかけているのではないだろうか。

そういう意味では、伝わりにくい映画であるかなとも思われる。
普通に見ている分には、さほどの盛り上がりもなく、感情的な掘り下げもないため、流れてしまう可能性は十分にある。

ただ、融和の思考が諸問題を解決する大きな力であり、国を挙げてのスポーツもエポックメイキング的な大きな力であることは十分に伝わってくる。

今、この映画を見るべきは、諸問題をかかえる各国の首脳の人たちで(現在の南アフリカも含む)、融和・解決することをよく考えてもらいたいものである。

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nini

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