ラグビーの映画。しかも歴史的な意味合いを持っている南アフリカの自国開催、そして初優勝の秘話を映像化した作品。クリント・イーストウッド監督、マット・デイモン、モーガン・フリーマン主演で期待し過ぎてしまった。そのせいか、大絶賛するほどではなかった。
減点理由としては、ラグビー経験者(私自身が経験者)から見て、迫力あるプレーシーンを再現できず、ぎこちない動きになっていたことがかなり目についた。オールブラックスのハカのシーンも、迫力が足らず、こっぱずかしい気持ちになってしまった。作品全体を通じては、つなぎが悪く、自然な流れでなかった気がした。「南ア代表は恥」「よくて準決勝」と表現されていたが、南ア代表はアパルトヘイトでの制裁によって、国際舞台から姿を消すまで、すべての代表チームに勝ち越している「影の世界最強チーム」と称されたこともあり、そういう意味で弱小扱いされているところが、不自然な気もした。
一方で良かった点は、マット・デイモンの役作り。完璧と言える。ジェイソン・ボーンシリーズのような鋼の肉体ではない、ラグビー選手らしい、ふっくらした筋肉を再現し、ルックス全体として、男前な感じではなく、ラグビー選手っぽい男前選手、という雰囲気をかもしだしていた。モーガン・フリーマンも、実際のマンデラ大統領の映像を何度も確認し、イメージをつかんだのでは、と分かるようなリアルな動きの再現に、プロらしさを感じた。
ストーリーはというと、展開が早すぎて、掘り下げるべきところが欠けていたように思う。とはいえ、役者の名演で中盤から少しずつ、劇場を一体にさせるような盛り上がりがあり、決勝戦の試合前の雰囲気は、それなりの興奮を覚えた。そこをつくりあげることができたので、及第点はあるかと思う。
ただ、映画で見るよりも「ドキュメンタリー」として見た方が感動したに違いない。。