2009-12-28

新しい戦争のはじまり このエントリーを含むはてなブックマーク 

新しい世界観、価値観に気付かされた映画だった。

これまでの戦争は、石油資源、いわゆる「黒いダイヤ」をめぐるものだった。
第二次世界大戦の日本軍が南方の石油をまっさきにおさえたことや、最近の中東をめぐる戦争に石油利権がからんでいることは自明だ。これら戦争には「黒いダイヤ」がからんでいる。20世紀の戦争は、「黒いダイヤ」をめぐるものだった。
「黒いダイヤ」がなければ産業が成立せず、産業が成立しなければ国が成立しないのだ。

しかし、これからの戦争は違う様相になってくるかもしれない。
石油にかわって「水」が戦争の原因となりうるのだ。
将来的には、ブラジルの水源確保のため、アメリカ軍が展開することもありうるだろう。

安全で大量の「水」は、産業に欠かせないものであると同時に、人間が生きるために必ず必要なものだ。
実は安価で安全な「水」は、なかなか確保できない。
それを確保し、高値で売る企業がある。
その民間企業が、人々の生活をコントロールするようになる。
人々の生活必須の「水」が、民間企業の利益となってしまうのだ。
「民間にできることは民間に」
は、小泉改革の潮流だったが、民間企業がはびこると、公共の「水」が、一民間企業の利益追求のために使われることになってしまう。

水道会社が民間企業になると、さまざまな弊害が出てくる。
みんなのものだった水が、ある特定の企業のものになってしまうのだ。
利益優先のため、煮沸しなければ飲めない水しか提供されなくなる。
ペットボトルの水の値段が、同量のコーラよりも高くなってしまう。
そんな、マンガみたいな出来事もおこる。
この映画で示されている事例は、「民間でできることは民間に」の極致である。民間水道会社が、利益のために人を虫けらのように扱う地獄絵図だ。
ネオコンがおしすすめた現代版の帝国主義が、どのような未来を生み出すのかが活写されている映画である。

「水」という日本では何気ないものが、実は世界ではこれほど求められ、紛争の種となっていることが驚きだった。新鮮な映画だった。

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ぬま

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