ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が資本主義の一人勝ちで終わったかにみえた。
しかし、本当に資本主義は一人勝ちしたのだろうか。実は、資本主義も失敗しているのではないか?
共産主義や社会主義の実験は失敗し、それに対して資本主義は絶対的な「正義」になったのだろうか?
はたして、「資本主義」は成功したのか?
実は、共産主義や社会主義が失敗したように、資本主義も失敗していたのではないか?
そうした現在の問題を見事に浮き彫りにした映画だ。
製造業から金融業に国家の産業スタイルを変化させ、複雑な金融工学を発明し、それによりサブプライムローン問題を引き起こしたアメリカの姿。
そんな姿は、製造業を海外にアウトソーシングしている日本の現在の姿とも重なっていく。
アメリカの現在の姿は、日本の未来の姿なのかもしれない。
この映画では、サブプライム後の問題を活写しているが、日本人の私の頭には、日本の姿がオーバーラップしてしまう。
資本主義体制をおしすすめた自民党政権、いわゆる「小さな国家」を目指し、郵便を民営化した政治体制から、
社会主義的な体制への回帰、いわゆる「大きな国家」を復権させ、郵便を再国営化へと舵を切った民主党政権は、このままアメリカの二の舞となるのだろうか?
そんなことを考えさせる映画である。
しかし、アメリカは懐が大きな国だ。
経営陣から末端まで、すべてを合議制で決める会社や、得た資本を平等に分配する企業がアメリカには存在する。
資本主義一色のアメリカ、というイメージが先行するが、社会主義や共産主義をちゃんと理解し、良いところを採っている人もちゃんと存在するのだ。
このまま、座して死を待つほど、アメリカ人は馬鹿ではないかもしれない。
それにしても、資本主義の行き着く先は、一部の富豪を育てるだけで、残りはみんな搾取されるだけという地獄絵図だ。
日本も、今のアメリカの姿を他山の石として欲しい、と映画を見て思った。