まるで自分も目の前のパチャママの世界に入り込んだような錯覚。
まさに、大地の恵みそのものの、美しい映像美。
すべてのいらないものをそぎ落とした、ボリビア先住民の素朴な暮らし。
この映画が開始すると同時に流れる、なんともいえない「やぁ、やぁ、やぁ」という歌声は、まるで日本人の誰かが歌っているかのような発音。やはりモンゴロイドと同じ血が流れているのだろうか?
映画のストーリーそのもんは、単純この上ない。だから、ちらしのストーリーの紹介を読んでも、今更?というような、100年前の半プロが書いたような筋書き。だが、だからこそ、私達の眼前に、ウユニ塩湖に住む素朴な人々の暮らしが見えてくる。
いかにも原始的に塩を切り取り、リャマの背中に少しずつ乗せて、3ヶ月もかけて、わずかな生きる最低限の物々交換のために旅をする親子。せめて、自転車さえあれば、と嘆く主人公の母親。
どこまでドキュメンタリーで、どこまでやらせで、どこまで創造したのか、すべてが渾然として、結果的に、あきれるほどの素朴なストーリーが仕上がった。その素朴さは、何よりも力強く、我々に語りかけてくれる。