2009-09-30

【クロスレビュー】那須の木陰でどんじゃらほい このエントリーを含むはてなブックマーク 

■そしてバスは行く~スペクタクルインザファーム出発変~

このステキイベントにはさりげなく幾つかの選択肢が付帯していた。
東京から離れた那須での開催に向けて、数々のパックツアーやチケットセット。
その中でもおはようからおやすみまで、もとい家に帰るまでがスペクタクル!
とも言うべき新宿発のバスツアー。それも、スペクタクル号、シアタープロダクツ号、
そして鉄割アルバトロスケット号……。
明らかに何か違うものが混じっている。
そしてそこに引き寄せられていってしまう者どもというのも、この世には
一定数いるものなのだと知ることになる。まあ私ですけれど。

土曜朝、8時半という爽やかな時間に集合場所へと向かうと、
オシャレ集団がキラキラまばゆく集まっている。色とりどりな
シアタープロダクツのショーのようだ(バスはドレスコードあり!)。
しかし私の乗るのはこれではなかった。
おはよ~ございます~

乗ったその最前列に顎の青剃りも鮮やかな中島朋人さんが
バスガイド姿(長髪ヅラ)で立ち、隣に朝日の中ではCGのような
戌井さんがギターを抱えている。

ともかくバスは走り出すのだ、那須に向けて。

■そして那須へ行く~朝日のような夕日を連れて~

いきなり章を区切ってみた。
バスが高速道路に乗る前からバスガイド(中島さん)がフライング気味だ。
今夜の宴でみんなで歌う曲の歌詞に、中島さんの免許証がコピーされた
歌詞カードが配布される(個人情報は消してある)。
「運転手さんに何かあっても僕が大型車運転できる証拠です! 鉄割バスは安心!」
いや、違う視点で一番危ない。て言うか何か起きないでください運転手さんには。
大宮インター通過の際、マイクを握っていた戌井さんが
「大宮ですね、それでは寛一お宮を歌います!」と音韻のみから引っ張ったネタを披露。
そこからメンバーが順繰りにマイクをつかむ。
みんなにお菓子配布、飴ちゃん配布、歌の練習(ちこたん、をエビの歌に改変)、
コーン君の過去の告白っていうか華麗なる病歴披露とブルックナーの曲解説、
デイビッドによる第一次世界大戦が始まった本当の理由、中島さんによるバスガイド
(主に景色じゃなく脇を走る車の名称と排気量とか:実家が自動車整備らしいです)
と、ひたすらだ。SAで隣に並んだ他のバスに手を振ってみるもスルーされる。
まあ私でもするわな。
そして長いようで短いバスツアーは那須川河畔公園に到着し、ともかく終了した。

■ナスナスナスナス、ココ☆那須~ザ・キングオブリゾート那須~
この見出しについてこれない年代の人は読まないでください嘘です。

先ほどまでのアングラ感が一掃されるような青空! 太陽! 緑と秋桜!
なんか二丁目のバーで飲んでて出てきたら超いい天気の朝、みたいな
鉄割バス二日酔いをかすかに感じつつも青い芝生を横切りステージへ。
丁度、地元黒磯高校吹奏楽部による演奏と快快のパフォーマンスで幕が
あがるところである。ドナドナ連れてこられた子ヤギ二匹が嫌そうにテープカット!
フィールドを見渡すと木陰に沿って避難民のように人がびっしり。
そう、さえぎるものの無い高原の空気を通過してくる太陽は正直暑い、マジ暑い。

のんびりした空気感でステージ前に詰め寄ってみる雰囲気もゼロなので
出店をうろうろひやかす。謎のポーズを取るマネキンがある古着屋、
明らかにおいしそう過ぎる肉を焼いているハンバーガー屋さんとか
カレー屋さん(並ぶの苦手なので指咥えちぎりかけながら通過)、
NPOなコーヒーやさん(高原の風をイメージしたブレンドと言い張る
魚屋みたいなお兄ちゃんから一杯買い求めました。高原ってこんな味なんですね!)
みなさん音楽聴いたり立ち話したりと商売っけゼロですがまあテキヤっぽい
お店が無いのがステキですね。

IKEBANAの演奏が日差しのコントラストで暗闇のように見えるステージから
響いてくるのを直射日光トリップでナチュラルサイケな心持で聞き、
ああ、日差しが似合わないバンドにもこういう聞き方があるんだ、と納得して
急激に行きたくなった黒磯駅前のSHOZOカフェ&華雪パフォーマンスへ
向かうことに。会場を抜けてもずっとJ.A.Mのステキジャズが聴こえる。
国道に出るまでで15分近く歩いてまだ聴こえる、さすがなんもない!
途中強風で倒れたスペクタクル旗を立て直し「一人硫黄島!」と言うパフォーマンスを
周囲の虫とかアヒルボートに見せつけながら歩いていく。
文字通りナチュラルハイ、大自然万歳! ていうか駅遠い! 40分ほど歩く。

地元の人々はとても親切なので、黒磯駅はどちらですかねと聞くと、
わからないとは誰一人言わないが全員違う方向を教えてくれる。
ここはイタリアか! とりあえず涙目で高架の線路を見つけ駅目星つけて
ようやく地図と照らし合わせられる場所へ到着、SHOZO CAFEの手前には
オシャレ中古雑貨屋さんのROOMS(SHOZO CAFE系列)があり、なかなか
よい品揃え。近所ならなんか買いたい雑貨&インテリアが揃っている。

しかしここはアウェーかつ取材荷物で手一杯てか歩きすぎてもう無理。
ということで噂のSHOZO CAFEへレッツラゴン。
あの、那須ですね。リゾート地のホスピタリティと清清しさと素朴カワイイ
みたいなレッツ森ガール要素が詰まってます。食事は軽食のみだけれど
スコーン(もちろんクロテッドクリーム)最高。サングラスホルダー壊れた
と訴えてみると補修用の針金を切って出してくれたねえさんもナイス。
小一時間、勝手に和みつつ写真整理などをしていると鉄割号やスペクタクル号
オシャレシアター号などバスもやってきて隣の華雪さん展示&パフォーマンス。

基本的に書のインスタレーション、二階のがらんとした空間にはぶらさがる
幾つかの和紙に刻まれた墨文字、そして簡素に作った茶室のような部屋イン部屋。
パフォーマンスは元・レストランだったらしい赤いカーテンの印象的な円形の
空間にてスラリ背の高い華雪さんがロングブラックドレスで華奢な体を
屈めて語る「この部屋は元が中華屋さんかなにかだった建物です。私は自分の
家というものに、過去自分の家が誰かのものになってそして、ある日教会に
なって十字架が揚げられていくところを、観た記憶があって。それがまた誰かの
ものになって、いく。その場所に刻まれていくもの、刻まれたものに残した
気持ちがある。それが展示室の小さな家の中にある”刻む”という文字たち。
その文字をいまから書きます」
豹のように素早くしなやかに身体が伸び、襲い掛かるように紙の上に筆を落とし
かじりついて文字を刻む、という文字を刻む。何度も繰り返す、
身体の様子はダンサーを思う細くくっきりとした筋肉と骨格で、
意外さや激しさといった形容だけではなく表現のために研ぎ澄ませた身体だ。
そこから生み出される文字のグルーヴは、書が文字の意味以上の表現を
湧き出させるには十分な熱が焚かれた完全に彼女が支配した空間だったよう思う。

そんな場所からハイ時間ですよ~バスの方いきましょ~
と連れ出される、正直ここ(黒磯駅前)から次の会場(ホテル愛寿)を自力で
行く根性はない(車で40分)ので後ろ髪引かれつつ会場をあとにする。
つうか遠いよ! 会場間が! これ来年の課題!

■ま那須の夜の夢~宴殺し踊りの地獄変~
タイトル意味ありません。ずっと無いけど。

ホテル愛寿はすばらしく昭和の香り漂うゲーセンとか宴会場に
巨大な松の絵入り緞帳とかもう、そういう場所なので徒歩で降りれる
今夜の宿泊地、山水閣にチェックインを先に済ませる。
ここの別館ラウンジ206にて、くらやみ朗読会も開かれる。
ザッツ那須ホスピタリティ! お茶美味しい! メシ素晴らしい!
部屋に檜風呂! 正直、超後ろ髪のまま愛寿へ引き返す。

愛寿宴会場では宴会劇場第一幕、鉄割アルバトロスケットの幕が
ちょうど開いたところ。見慣れた何かをネガポジ逆転~彩度MAX~
切り抜きコラージュ、してると思うと気づいたら背中にそっと
変なものが貼られてるという感じの、悪戯のような、にらめっこの
ような笑ったら負け的な間を張り巡らせている油断のできなさ。
歌もどき、歌舞伎もどき、オペラもどき、昔話もどき、
が、目くるめく坊主めくり的に繰り広げられていき、酸欠も
近づくころに勝手に幕は下りるのである。行きのバスで歌った
ちこたん、の替え歌”死んだエビのブルース”も結構な人数が歌ってた。
あんな歌詞を、多分初めて観る人も多かっただろう300人の大会場で
歌わせるこの凄まじい違和感! そして狐につままれたような
脱臼した笑いで宴会場を包んで終了の蛍光灯がつく。

第二幕の間に食事を取る間があるのだが、その後に選ばされるのが
山水閣での酩酊バー”くらやみ朗読会”(山崎ナオコーラ+岡田利規)と、
愛寿宴会場劇場第二幕のやくしまるえつこ&オオタルイチ+康本雅子。
時間はどん被り。やばい、両方気になる。ていうか山水閣の居心地がいい……。
ああでも、と迷っているうちに会は始まり、とりあえず浴衣半纏でラウンジ206。
ムーディである。ランプシェードをはさんでグラス片手に、
最初に山崎さんの自作、そして文学談義をはさみつつ『細雪』を
読み上げ始める男女。そしてそれを眺めつつラウンジチェアでグラスを
くゆらせる観客たち……ていうか、入りきれなかったひとは外テラスで
そんな室内を眺めていたんですけどね、はい。私。

そして細雪の朗読を、たどたどしい京都弁で山崎さんが読み始めたその時
外からは何やら絶叫の歌とけたたましい音楽が!
数人が振り返り「カラオケかなんか?」と訝しがる中、
始まっちまったか……と、私はラウンジに背を向け夜道を歩き始めるのだ。
てかまあ、ラウンジが別館だったので愛寿に程近かったというのが敗因だ。
ということで、愛寿に戻るとそこにはやはり、宴会場の畳の上を駆け巡る
康本雅子と韓流スター的髪型と服装で歌いまくるオオタルイチの姿があった。
(一旦中断、続く)
↓華雪パフォーマンス


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