正直に言います。この「アルティメット2」、前作は未見です。したがって主演の二人についてもよく知りません。知ってる名前は制作・脚本のリュック・ベッソンさんだけ。なんか街中を走り回り飛び回るアクション映画である、程度の前知識だけで観に行きました「アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ」。いやあ、何も考える事無く楽しめたですコレ。
なにしろストーリーが、近い未来のパリ郊外。様々な人種が入り乱れるギャングの巣窟で、政府の陰謀による警官殺人事件のねつ造と、それを引き金とする地区一掃計画が発動される。その強引な政府のやり方に反発する潜入捜査官ダミアンと、スラム街の仲間レイトは、地区のギャングをまとめあげて政府の陰謀を阻止しようと本部に乗り込む。とまあ、一息で言えそうなくらいシンプル。
したがってストーリーもシナリオも、登場人物たちの人間関係もまるで「添え物」のように希薄で、深みもスカッと爽快なくらい無い。全然ない。いや、だからダメって言うのでは無くて、この映画はあくまでも主人公2人のムチャクチャなアクションを「観る」ための映画だからそれでいいのだ、と思う。
だってアクション観るのに小難しいストーリーとか謎解きなんて邪魔でしょう(笑)。街を走り抜けビルを飛び越え、部屋を突き抜け、道がなくても関係なし。ワイヤーも特撮も無しで暴れ回る主人公、ダミアンとレイトのアクションは、息つく間も無い際どいシーンの連続。
それらアクションのベースが「バルクール」と呼ばれるエクストリームスポーツのひとつ、と言われてもまあ、今一つピンと来ないが、要はスケールをものすごくデカくしたジャッキー・チェンのアクションのヨーロッパ版か。ジャッキーと異なるのは、よりスマートで洗練されており、お笑いの代わりに際どい場所のハラハラ感を加味したと言う感じ。全くこれだけで全編行っちゃえばイイのに、と思わせる程、アクションシーンは秀逸。それはすなわち、シリル・ラファエル演じる【ダミアン」と、ダヴィッド・ベル演じる「レイト」のスゴさ、でもある。
彼らの活躍は正直ストーリーも設定もブッとばし、アクションだけでご飯2杯イケちゃう感じ。スゲーやつらのスゲーアクションをデッカイスクリーンで楽しむ、という娯楽に徹したその作りに、リュック・ベッソンのサービス根性はスゲエなあ、という印象を持った。
監督のパトリック・アレサンドランも、街の中から建物の中まで、分別無く飛び回る「バルクール」や、ムチャクチャなカーアクションを連続させて90分持たせちゃう映画を作っちゃうんだから中々のモノ。中だるみも起きないほどにシンプルすぎるストーリーのおかげで、アクションに集中できた、と言う事なんだろうか。
時々人間って、何も考えなくても楽しめるこういう映画を観たくなる事があるわけで、日本で言えば「日活無国籍アクション」、イタリアで言えば「マカロニウエスタン」、香港で言えば「全部の映画(笑)」が受け持ってきたそのポジションを、リュック・ベッソンが狙っているような気がする。21世紀になってしばらく経つ、今さら感のあるこの時期に、というのがアヤしい。最近多作だしなあ・・・・。
- TOP
- まつばらあつしの日記
- 詳細