映画の最初に現れる『ディズニーネイチャー』のロゴに象徴されるように、ディズニーのファンタジックなストーリー性と、自然ドキュメンタリーのリアリティという異なる要素を融合させた新たなレーベルからの作品である。ウォルト・ディズニーが精緻なアニメーションの制作と平行してかねてから構想していた、世界の神秘的なまでの風景を残さず捉えるという試み。この作品は誰も観たことのなかったフラミンゴの生態を追うことで、生きるとは?という根源的な問いかけを私たちに与えてくれる。舞台となるナトロン湖の過酷な気候と環境が、なぜフラミンゴにとって重要なのか。次第に抜け替わり深紅に染まっていく羽、水面を優雅に滑走していく飛行、ひな鳥が幼い体をこわばらせながら育っていく姿。カメラはこの親しみやすくも神々しいフォルムを持つ生物の一生を、移り変わる季節を通してフレームに収めていく。そして周囲の開発により、今作に収められている奇跡的な映像も今後観られなくなるかもしれないという警鐘で終わる点にこそ、自然そして制作者たちからのメッセージが込められていることを見逃さないでほしい。日本語版ナレーションを担当した宮﨑あおいの声の魅力もその説得力を深めることに成功している。地球は、そして人間はこのままでいいのだろうか?まずは知ることから始めるべきだろう。