昼前に起きて映画を3本観ようかと思うも、まだ来週もやっているし、などと思っている内にいき損ねて、資料用のDVDを観て過ごす。合間に井口奈巳の8mm版『犬猫』(☆☆☆★★)と、少し遅くなったが大原麗子追悼で市川崑『獄門島』(☆☆☆★★★)。
『獄門島』はシリーズ5作の内最も印象の薄い作品で、各作品を数十回観てきたが、おそらく再見率は最も低いのではないか。それというのも作品の質としては最も低い(それでも質の高いシリーズだっただけにこの作品も十分傑作ではあるし、例えば現在の日本映画と並べてベストテンを選べばダントツでベストワンになる)からだとも思うが、やはり原作の執筆順と映画化の順序が異なる為、既に『獄門島』で使ったパターンを『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』で発展させているだけに映画化がその逆の順序でなされた為、市川崑が手を尽くしてもやはり居心地が悪く、その上、原作との犯人改変が他の監督であれば酷いことになっていたのが市川崑だけに観れるものになっているとは言え、それでもやはり原作と比べると無理がある。それに夏の映画になっているのがやはり合わない。このシリーズは冬枯れの寒い中で起こるのが魅力だ。その上でそれでもやはり面白いのだから凄い。導入部は絵にナレーションがかぶり島の由来の説明をするところから始まるのがシリーズの中でも異色。タイトルクレジット明けは『犬神家の一族』の金田一初登場シーンのリメイクと言って良い。ロングで歩いてくる金田一の姿。望遠で金田一をフルサイズで捉えたショット、次のショットで人とすれ違い、本篇に関わる人物(ここでは傷痍軍人)と対面し、会話する。これは『犬神家の一族』と同じシーン構成となる。それから、この後の『火の鳥』にも受け継がれた異物感出しまくりの字幕の使用など、シリーズの中での異物感という意味でも興味は尽きない。それにしても大原麗子良かった。演技は『おはん』の方が良いのだろうが、可憐さではこっちが良い。
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