年配の人しかわからないと思いますが、
40年くらい前に実在した人気テレビ番組「ディズニーランド」。
「おとぎの国」「冒険の国」「開拓の国」「未来の国」
ティンカーベルが杖をふると、4つのくにのなかから
今日のお話がわかるのだけど、
そのなかの「冒険の国」というのが、
まさにディズニーネイチャーが復活させようとしている
野生の動物たちの生態をあつかったノンフィクション・・
なのではないのかと思います。
私の動物ノンフィクション初体験はまちがいなくこの番組で
白黒テレビだったのが信じられないほど、
いくつかのシーンを鮮明に覚えています。
まあ、思い出話はともかくとして、
ディズニーネイチャーの第一作は、とにかく映像がきれい!
そして、「アース」のような強い(強すぎる?)メッセージ性もなく、
「ミーアキャット」のように無理やりなお話仕立てにしてもいないので、
素直に楽しめました。
今回はフラミンゴ。
動物園のフラミンゴショーも楽しいけど、、
何十万羽ものフラミンゴが隊列を組んで飛行するさまは
天然の雄大なマスゲームをみているようだし、
ゆっくり羽ばたきながら湖に着水し
二本足で優雅に湖面を走るところなんて、
もう美しいのひとこと。
いつまでも眺めていたい映像です。
たくさんの異性のなかから運命の一羽を求めての
求愛のダンスも魅力的。
どんな小さな仕草にも思いをこめて
高まる情熱のボルテージ・・・
フラミンゴは一生パートナーを替えることはなく、
自分たちの子どもも鳴き声でちゃんと聞きわけるそうです。
毒性をもつソーダ塩をふくむナトロン湖では
その条件の悪さから他の陸上動物は寄りつかず、
彼らだけの楽園なのですが、
ここで繁殖期をすごしてヒナをそだて、やがて
「その時期」がくると、次の場所へと移動して
そこを自分たちの楽園へかえていきます。
これは「渡り」というより「遊牧」。
彼らの生息するところは、炎のように一面真っ赤になります。
これは、カロチノイドを含んだ
植物性プランクトンからの色素によるもの。
親から子へ与えられる「フラミンゴミルク」も
藻類に親鳥ののどの組織が剥離した物質をふくみ、
たんぱく質にとんだ、栄養たっぷりの真っ赤なミルクです。
親鳥が自分の命を削って子どもに与えているようで、
ちょっと感動的でした。
楽園とはいっても、空からはハゲコウ、
陸からはハイエナなど、彼らをねらう動物ももちろんいます。
丈夫にうまれなかったヒナや、
上手に歩けずに塩の足かせのついてしまったヒナたちは
群れから遅れ、死んでしまったり、彼らの餌食になるのですが、
一部の「弱い者」が犠牲になって、群れが維持できているのは
宿命なのかなぁ・・・・
フラミンゴの寿命はなんと40年。
過酷な環境の中でも、たくさんの卵を産み、ヒナを育てて・・・
それでも数が減ってきているのは、開発と汚染といった
環境破壊によるもの。
マサイの人たちは、フラミンゴを
「生きものになったナトロンの化身」と
怖れをもってあがめたといいます。
フェニコプテルス(真紅の翼)
火の鳥、不死鳥・・・伝説にまでなったこの鳥は
幸いまだ絶滅危惧種ではないですが、
彼らを絶対に
この地球上からなくしてはいけないと。
この映画をみた子どもたちもきっとそう感じて
美しい映像とともに、心に刻んで
大人になっていってくれると信じています。