ブログ「だめ日記」から
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7月14日に開催された、「大野松雄~宇宙の音を創造した男」公演の成功ぶりは、ロビーに出てきた大野さんを囲む賑やかな輪が物語っていた。大野さんはたくさんの人に取り囲まれて、サインをしたり挨拶をしたり名刺をもらったりしていた。にこにこしながらあいさつをして、なかなか楽屋に戻ってこなかった。
大野さんはリハのときも開場前も、いつもロビーにいて誰かと話していた。カメラの前でもインタビュアーの前でも、いつもにこにこして、いろんなことを話している。と思えば、1人でふらりと高橋是清翁記念公園に歩いていって、帰ってきてから「風が強いから新聞が飛んじゃうんだよね」なんて報告してくれる。差し上げた飴の袋を持って歩いている。
繰り出される話の内容は様々。大野さんは、アトム、万博、電子音響、あの頃、を克明に記憶していて、次々に話を繰り出す。そのひとつひとつが、機材に弱い私にも つくば万博には子供のころ行った覚えがあるなあ程度の私にも分かる、少し大きな話に落ち着くようになっている。
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いまの若い人は、学校でも、映像に効果をつけてきなさいっていうと、CDの音源をそのまま入れてくるんだよね。ディレイをかけてみたり、いじってみるというひと手間をかけようとしない。
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数トラックあったら、一回ぜんぶ同時に出してみることで、全体を把握する、それからそれぞれについて考えていけばいい。個も大事だけどね、時間があればそれでもいいんだけど、時間の無い時にはこうやって全体を把握する。
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遊びがない、やってみようとしない、というようなことを、大野さんはよく語った。実験ができる時代だった、とも。
大野さんはたいがい、「今」と「昔」の状況の違いを分かった上でものを語る。が、どうしたってデジタルは、連続性をもつアナログには近づけない、ということで、やはり「今」に辛口になるようだ。
第一線で音を生み出してきた大野松雄さんは、穏やかに気を吐く79歳でした。