2009-06-04

声に出して笑った方が良い。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

「童貞放浪記」タイトルに文学的な匂いをほんの少し感じさせてくれものの、そのものズバリである。
高学歴の男が職場・先輩に恵まれず、「童貞」といったコンプレックスを抱えたまま、ストリップ(場末感が最高!)や風俗にいくも、上手くいかない、すっきりしない。
東大院卒の学歴など、ここでは、なぁんの役にも立たず、30歳で童貞といった事実だけが浮かび上がる。
ある日、偶然後輩の萌再会する。萌は積極的で、抜群のボディーの持ち主・・・積極的な萌にひきつけられるように恋を抱き、「脱!童貞」に向けて奮闘する。
そんな、冴えない男を嫌味なく演じる山本浩司さんの演技が光る。時折見せる間の抜けた顔なんて秀逸である。
この作品、童貞男の一生懸命さを、実にリアルに描いているが重くはなく、むしろ笑える。
勿論、小ネタと演出によって、笑とテンポを生み出しているのもそうなのだが、一番は、主人公の必死さであろう。必死であればあるほど、一生懸命であればあるほど、その姿は滑稽で笑える。
ともすればイタイ話になりそうな部分を、重く転びそうな気持ちを、クスクスではなく声に出して笑い飛ばすと実に楽しく見ていることが出来る。
「人間が一生懸命で、悲しいから笑える」といった、喜劇の一面が良く出ていると思う。
後半では、ここまでしてといったアピールや、肉体のぶつかり合いから、女性は「ヤリたいだけなんじゃないの?」と思うかもしれない。
それも正解である。童貞男に取って、恋愛対象と性の対象はごちゃ混ぜになり、同一だからだ。
女性の皆さんにも、「童貞男の悲しき習性」を疑似体験し、笑い飛ばしていただきたい。

また、撮影技術にも注目したい。ビデオ撮影は、生っぽく、同じようなシーンになりがちだが、本作にはそれがない。シーンによって大胆に色を変えたり、照明効果を使ったり、実に分かりやすく演出効果をたて、雰囲気を作り出している。フレーミングにおいても、役者の表情の拾い方や距離感といった部分は見事で、すばらしい。

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