昼に自転車で吉祥寺まで。バウスシアターで今日の夜の『こおろぎ』の爆音上映の整理券を取る。既に80番台後半なのに驚く。平日の昼間で既にこの番号とは…。一体どれだけ暇な人達が居るのだろう。また自転車でノンビリ進んで1時間ほどかけて新宿まで。仕事を夜まで。
新宿紀伊國屋書店で『ショック!残酷!切株映画の逆襲』と『アラザル VOL.2』を購入。『切株映画の逆襲』は待望の続編だけに読むのが楽しみだ。
吉祥寺へ着いてから時間潰しに入った書店で、井原高忠の『元祖テレビ屋ゲバゲバ哲学』なる新刊が出ているのを見つけて驚愕する。中を開くとかつて『ヒッチコックマガジン』に連載されていた井原の『ショウほど素敵な商売はない』も完全収録されているし、現在のテレビまで語り、小林信彦の解説から、井上ひさし、伊東四郎、萩本欽一のコメントも収録されている。これは直ぐさま無理してでも購入せねばと感動に打ち震えて購入。
バウスシアターに着くと大混乱の状況。立ち見のチケットや、キャンセル待ちチケットも30数番とか言ってる。そこまでして観るような映画でもないだろ、とか思いつつ80番台後半なので席は確保できたものの上映開始もずれ込み、凄い盛況。
そしてようやく観た青山真治『こおろぎ』(☆☆☆★★)は、とても奇妙な映画だった。近年の青山作品で言えば『サッドヴァケイション』系ではなく『エリエリレマサバクタニ』系。製作は『サッドヴァケイション』より前で『エリエリレマサバクタニ』の後らしい。盲目の初老の男と彼を世話する女の別荘地での日々が描かれる。難解と言えば難解、単純と言えば単純、しかし一瞬たりとも弛緩しない奇妙な魅力に満ちた不思議な作品だった。自分は伊丹十三というキーワードを作品の一部に入れ込むことで非常に面白くなったが。おそらく存在自体を否定する向きもあるに違いないと思うが、凡庸なワケの分からないことをやっている映画と違うのは、一緒に観た人と終映後、麺通団で食事しながら珍しく様々な解釈を話していたところからも、奇妙な魅力があふれていることが分かってもらえるのではないかと思う。早く一般公開されるべき作品だと思う。
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