2009-04-27

特効薬は人間 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 「こころの傷に特効薬、ありますか?」というコピーに興味を持ち、本作品を拝見いたしました。精神科病院の“病室の外からしか開かない鍵”に疑問を持った山本医師が立ち上げた鍵のないクリニック「こらーる岡山」が舞台で、山本医師、スタッフ、そこへ通う患者さん等の姿を映したドキュメンタリーです。
ナレーションもテロップもないこの作品には、観客を誘導したり先入観を与えるものは何一つありません。 

 患者さん達は、泣いたり沈んだり、自殺未遂、拒食症等、様々な症状がありましたが、私は冗談を言い、ユーモアもあり、大声で笑う彼等のやりとりに驚きました。
この驚きがまさしく偏見なのですね。
彼等のやりとりを観ながら、ストレスや孤独感が募る一方の現代社会においては、誰もが彼等と同じ人間であり、感情の起伏や自暴自棄になることがある、と感じました。
かといって、本作を観ただけで彼等の苦しみを理解できたわけではないのですが、精神科に通う方々を特別視していたことに気付かされたのは確かで“見えざるカーテンを取り払った”と言う監督の言葉通り、無意識に仕切っていたものが取れていくようでした。
また、患者さん達による詩、俳句、コメントは、人間臭くて胸にグッとくるものばかり。
共感できるものが多かったです。

 ヘルパーさんの講習会で登場した“一方向コミュニケーションの結果”はわかりやすく、山本医師のモットーである「当事者本位」からは、病気を治すというより、その人らしさを取り戻すというやりとりがみられました。
そこから、こころの傷の特効薬は何といっても人間なのだな・・・と強く感じました。

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ブルーベリー

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