終日雨なので出掛ける気にならず。フィルムセンターと新文芸坐に行きたかったが寝て過ごす。
注文していた『巨泉×前武 ゲバゲバ90分! 傑作選 DVD-BOX』が届く。5800円ほど。これは無理してでも購入する必要があったが、期待を裏切らない素晴らしい作り。当初よりも収録分数も増え、極力カラー映像を収録し、最近発見されたモノクロテープで補完することで、ゲバゲバの全貌が現在からでも僅かでも垣間見ることができるようになった記念すべき偉業。本来ならば、テレビ・バラエティ史的にも大騒ぎするような事件の筈だが、それほどでもないように思えるが、何故か。『エロス+虐殺』の完全版がDVD化された時もそうだが、この無関心さが過去のライブラリーへの執着の無さを実証している。
続いて同じく取り寄せしていた『松本清張映像の世界―霧にかけた夢』が届く。1400円。原稿の資料也。清張は映像化だけでも無数にあるので、とても全部どころか半分も1/3も観られないし、観てもいないと思えるだけに、どう取っかかりを見つけるか……。
夜、新宿に映画を観に出掛ける。角川シネマの前の通りを歩いていたら、千円札が落ちていたので即座に拾って然るべき処置をする。夜の12時とは言え人通りも多いだけによく落ちてたもんだと感心する。
バルト9へ向かい、クリント・イーストウッド『グラン・トリノ』(☆☆☆☆)を観る。昨日『チェンジリング』を観たばかりだが、またしても傑作。ターミネーター化したイーストウッドの無敵ぶりと、終盤の展開が凄い。どこまで行くのかイーストウッド。イーストウッドが死んだら映画も一緒に死ぬんじゃなかろうかという気がして来て最近のイーストウッド作品の完璧に限りなく近くなりながら不要な圧迫感を感じさせない前人未到の領域に突入しつつある状況に恐怖すら感じる。
続いてダニー・ボイル『スラムドック・ミリオネア』(☆☆☆★★★)。もはやB級映画の職人監督という認識でいたダニー・ボイルが一挙に『トレイン・スポッティング』以来の傑作を撮ったことに驚く。ただのクイズ番組をネタにしたものでも、またそこからこれ見よがしに人生を振り返させるわけでも、また映像技巧のみに頼るわけでもない、全てのバランスが絶妙に配置されて秀作となっている。『トレイン・スポッティング』+『シティ・オブ・ゴット』とも言うべき外面と、普遍的なベタなラブストーリーを絡ませているのに臭くならならいのは、久々に切れ味を見せたダニー・ボイルの映像技巧とそれだけに頼らない語り口によるものが大きい。
『グラン・トリノ』と『スラムドック・ミリオネア』のパンフレット購入。
画像は、『巨泉×前武 ゲバゲバ90分! 傑作選 DVD-BOX』より、第一期最終回でスタジオに揃った出演者と放送作家たちの映像の中に発見した二人。たぶん若き日の井上ひさしと中原弓彦(小林信彦)。