その強烈な個性は脳を激しく揺さぶるため、もしかしたら好き嫌いが分かれるかもしれません。
しかし、生命力を与えてくれる映画、見ると得する映画です。
日本だけでなく、ぜひ、世界中に観てほしいと感じました。
薄暗い部屋の中から映画は始まります。
まるで退屈することなくすぐに映画に引き込まれます。
その理由の一つは、松山ケンイチさん演じるこの映画の主人公、陽人が、予測不可能な行動を次から次へと観客に見せ続ける為かもしれません。
ちょうど、動物園の檻や水族館の水槽の前で釘付けになってしまう感じとよく似ています。
彼が次にどう動くのかあまりにも予想ができず、おもしろくて怖くなり、そして、怖すぎて笑ってしまうのでした。
ストーリーは、ユーモラスかつシュールな展開で進みます。
農薬を使うところなどは、ぞっとして思わず目をつむり、そして、ありえないことが起こります。
普通「映画だから」と思うところも、横浜ワールドに取り込まれた私は、実際に科学的に検証してみたくなる衝動にかられます。
ラストに近づくにつれ、登場人物のふとした表情が、はっとする程きれいに見えて来る様になりました。彼らが変わっていったからか、それとも、自分自身が映画を通じて進化したせいなのか。
荒削りですが、監督の世界観がつまった素晴らしい作品です。これまでどんな映画でも、見終った後は多かれ少なかれ疲れを感じることが多かったのですが、この映画は私に全く疲れを感じさせず、パワーを与えられた私は走り出したくなりました。
