2009-04-05

立体的に明らかにされる真実 このエントリーを含むはてなブックマーク 

1978年、ニューヨークのチェルシー・ホテル。
伝説のパンクロックバンド セックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスの恋人、ナンシー・スパルゲンが殺された。
部屋で寝ていたシドが容疑者として逮捕される。
保釈期間中に、シドは死亡し、シドが犯人ということで、捜査は打ち切られる。

しかし、この捜査はずさんきわまりないものだった。
ナンシーが殺された部屋に、シドは寝ていたものの、
薬の過剰摂取でとてもではないが立ち上がれる状況ではなかった。
また、部屋には誰でも自由に出入りでき、事件当日も6人以上の人間が出入りしていた。
さらに、部屋にあったナンシーの大金が、何者かに盗み出されていたのだ。

はたして、真犯人は誰なのか?

この「ナンシー殺人事件」のみならず、そもそもシドやナンシーの人柄も、多くの人間のインタビューによって、赤裸々に語られていく。
シドやナンシーにかかわった人間、さらに事件にかかわった人間の貴重な証言から、
事件の全貌が明らかになっていく。
これらの証言から、まさに真実が立体的に浮き彫りにされるのだ。
そのさまは、さながら一木作りの彫刻を見るようだ。
一つ一つの証言が、木を削いでいき、事件をうかびあがらせる。
事件の真相が明らかになる過程が、とてもスリリングだ。
また、70年代の時代的雰囲気もよく伝えている。

シドの死に興味がない人間でも、十分に楽しめる映画だ。
また、ところどころにはさみこまれる映像がすばらしい。
観客を飽きさせることなく、そして印象的な映像だ。
とくに、犯人らしき人物の似顔絵が衝撃だった。

セックス・ピストルズのファンのみならず、すべてのロックファン必見の映画だろう。

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ぬま

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