2009-04-03

永遠の“男の子”シド・ヴィシャス このエントリーを含むはてなブックマーク 

「WHO KILLED NANCY」…タイトルは、「誰がナンシーを殺したか」。けれど、その内容は、殺人犯を探して真犯人を暴くことを目的としてはいない。シドとナンシーの燃え尽きた人生を、今尚業界に通じる当時の関係者の証言を交えて、鮮烈に、壮絶に、くっきりと浮き彫りにする。
シドは、言わずと知れたセックス・ピストルズのベーシスト。天才であり、それはすなわち狂人であった。しかし、画面から見られるシドの表情は、痛々しい程幼い20代の“男の子”の素顔。生育に破綻があり、ヤクに蝕まれ、それでも愛を信じて短い人生を駆け抜けた“男の子”…。当時私が“年頃”だったら、まず間違いなく惹かれてしまっていただろう。
しかし、身近にいた他人たちが、他人だからこそ客観的に見ることができるその生活、出で立ちは、荒れ果て、荒んだものだった。ダメ男好きを自他共に認める私でさえも、これはちょっと引くよね~。最も引いた“子猫殺し”の話。だけど、きっとその時シドの側にいたら、「シドはそんなことする人じゃない、何か重大な理由があるの」と彼をかばっていたんだろうなー。
当時のシドの周りには、そんな風に捨て身でかばってくれる人がいなかったまのだろうか?ナンシーは、ただのグルーピー・有名人狂い・売名行為でシドと一緒にいたように、周りは言うけれど。きっとシドには、そんなナンシーでも、それだけが唯一信じられる愛だったんだろうな。そんな所まで、哀しい位に“男の子”。「誰がナンシーを殺したか」なんてもう忘却の彼方。彼らの生きた証は、音楽の中にこそ残っているのだと信じたい。

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ここなつ

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