「いとしい人」というタイトルがあるが、これは誰か一人ではなく、すべての人なのだと思う。親子愛、兄弟愛、そしてパートナーに対する愛。そんな愛をみているうちにすべての出演者がいとおしくなってくる。(原題はthen she found me)
始まりは、音楽と映像が気持ちよく合わさって映画に入り込みやすい。設定は39歳だがヘレンハントは実際はもうちょっととし。厳しいかな?と思いつつも次第にストーリーに引き込まれた。
結婚し、幸せな場面から旦那に別れを告げられ、学校に行ってみると旦那の姿はなく彼のクラスの分まで生徒をみなくてはいけなくなっていた。(旦那は職場の同僚。)焦るエイプリル(ヘレン)落ち着こうと一生懸命な彼女に前に現れるのが二児の父フランク(コリン・ファース)二人は、惹かれあい、恋に落ちる。順調と思えたその時エイプリルに元旦那との子どもができていることがわかる。子どもをほしがっていたエイプリルは喜び、子どもっぽい元旦那、現恋人、自分の3人で病院へと向かう。そこの待合い室のシーンがまたおもしろい。そわそわと落ち着きない旦那のベン(マシュー・プロデリック)、見つめ合うエイプリルと、フランク。よく考えてみるとすごい状況だがアメリカはそんなの気にしないのかな?思わずくすっと笑ってしまう。これだけでなく、実はエイプリルは養子で、養母が亡くなった後実母と名乗る母バニース(ベット・ミラー)が現れ、そっちでもひと悶着。(いやもっとかな?)でもシリアスにならず、テンポよくあっけらかんとストーリーは進んでいく。
全体的に明るい中、後半のある決意をしたエイプリルの祈りが印象的である。命というものを考えさられる、厳かな祈りである。そして何年後かのエイプリルが映し出される。
設定は平凡ではないかもしれないが、あたたかで普通の幸せを願う一人の女性のストーリー。
クスクスッと笑いたい方におすすめです。