一人の学者が戦時下の体制により、流浪の人生を歩まされる。
そして、それを取り巻く家族のあり方。
山田洋次監督ならではの人間に向けた視線と、温かみで物語りは包まれる。
自分が学生の頃を思い出した。
20年以上前、教授と学生の間には、温かい師弟関係というものがまだ残っていたと思う。
昨今の、大学に於いては、それはいかなるものであろう。
そんなことを考えた。
浅野忠信は、いろんな役を演じられる。どんなものにも染まる。
ある意味、自分と対極にある俳優だけに、その透明な存在感が羨ましい。
この映画は、浅野の存在に尽きるといっても過言でないくらいに、浅野の存在感は輝いていた。